恋は何歳まで出来ますか？

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同じシングルベッドが隣り合わせ隙間なく二つ並んだ寝室。
その白いシーツは綺麗にいつも洗われている。
日に干した太陽の香りに包まれながら、日付を越えるまでにベッドに入るのが楽しみだけど、今日は入れなかった。


隣のベッドには布団にくるまって聞こえない寝息に不安になるほど、静かに眠っている宏光がいる。



そんな宏光の半分程隠れてる寝顔を見て、大倉に会ったからか、ふと高校の頃を思い出す。



あの時、宏光に止められることなく、俺がマイコ先輩に告白して付き合って。大倉と宏光が付き合ってたらどうなっていたんだろうと。



俺はマイコ先輩とそのまま結婚をしたのか、
大倉は宏光とそのまま結婚をしたのか。
すごく怖くなった。


あの時、止めてくれた瞬間から…
ただのクラスメイトでなんの関わりのない二人の人生が重なり始めた。


考えてみれば、俺の妻にならず…
大倉とそのまま結ばれていれば、もっと華々しく、普通の主婦では経験できないような豪華な暮らしを送れたかもしれない。


大倉は実家が大企業の創業者であり、経営者一家だ。妻に金で苦労をかけることはない。
もし、仮に学生結婚をしていたとしても、何ら問題がないほどの豊かさなのだ。



育休明け、泣きじゃくる可愛い息子を後ろ髪を引かれる思いで保育園に入れ、働かせることもせずに済んだかもしれない。
新卒一年目の時、仕事でいっぱいいっぱいだった俺を気遣い、自らも働きながら、家事や子育て全てを任せられることもなかったかもしれない。


今となれば、自由にしてあげられる時間を作ってあげることも出来たけど、苦労も沢山かけてきた。


宏光は隠すから子供たちはそんな宏光を知らない。
そう思った時、宏光へのいとおしさが込み上げてきた。



起こさぬように、宏光の髪を梳くように指を通す。



「愛してるよ、ホントに」



寝静まった夜、眠りの深い君にそっと囁いた。



目尻にキスを添えて。



丁度その頃、裕太が帰宅し、宮と対面していたことは知らずに…



＊


正直、疲れた身体に鞭を打ち奮い立たせ何とか仕事を終えた。辛い時でも笑わないといけないアイドルは自分で選んだ道とは言え辛く感じる時もある。
ゆるくがモットーな自分でさえ少し疲れていた。




こんな時間だし、家族は寝ているだろう。
宮田も。
ちゃんと覚えてる。
昨夜、起きたら宮田がいて…そのまま寝惚けながらも宮田の唇を奪ってたことを。身体が勝手に動いた。まるで、本能に導かれるかのように。

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