第１９９話 ページ10
リングの力に酔いしれ、愉悦の声を上げるXANXUSさん
だがそれも長くは続かない
「これで俺はボンゴレの十代目に──！！」
突然、言葉が途切れた
次の瞬間、彼の口から叫声と共に血が吐き出される
驚愕、困惑、恐怖
その全てが私の頭を支配した
私は色々な感情が入り交じって、思考も体も固まってしまう
「拒んだんだ…」
ぽつりと零れた、その慣れ親しんだ声に現実へと引き戻される
「リングが、XANXUSの血を…拒んだんだ…」
沢田さんは確信めいた声でそう言った
それをマーモンさんが問い詰める
しかし目に悲しみを僅かに浮かべただけで何も答えなかった
「ぐっ…さぞ、かし…いい気味だろうな…！！」
ひどく苦しげな声と、今にも途絶えてしまいそうな呼吸音
XANXUSさんはよろよろと起き上がった
そして言った
「俺と老いぼれは血なんて繋がっちゃいねぇ…！！」
その場が、静寂に包まれる
あまりにも突然明かされた事実に、全員が何も言えなくなる
沢田さんが彼の名前を呼んだ
怒りと悲しみ、両方を感じられる声で
「っ、同情すんな！！カスが！！」
それを拒むように怒鳴り声を上げるXANXUSさん
もうそこに、以前までの余裕はなかった
《──お前の裏切られた悔しさと恨みが…
俺には、わかるぞぉ…》
低く、唸るような声
そしてどこか寄り添うようなその声には聞き覚えがあった
「スクアーロ！！」
別の方向から山本さんの声がした
「生きてやがったのかカスザメ…
はっ…てめーに俺の何がわかる…
知ったような口きくんじゃ、ねえ…」
「いいや、わかる！！
知っているぞぉ！お前の過去を！」
「…」
その言葉にXANXUSさんは目を見開き、歯を食いしばる
スクアーロさんは落ち着いた声で、彼の半生を語り出した
《──お前は下町で生まれた
そして生来、炎を宿していたお前を見て母親はある妄想に取り付かれたんだぁ
お前は九代目と自分の間に生まれた子だとな》
母親は何も知らないXANXUSさんを九代目に会わせた
炎を見た九代目は「お前は私の息子だよ」と言葉をかけ、XANXUSさんを引き取った
幼いXANXUSさんはその言葉を信じて疑わなかったそう
月日が流れ裏社会に生きるようになったXANXUSさんは九代目の息子としてふてぶてしく育っていき
威厳・実力とともに後継者として文句のない男に成長する
しかしある日、知ってしまう
自分が九代目と何の繋がりもないことを
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作者名：るるぶ | 作成日時：2024年4月16日 23時
