【REBORN】寡黙少女の奮闘記5 (ページ8)

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第１９７話ページ8

早く、沢田さんの元へ行かなければ

すぐにこの場から離れようとした

しかし

柱に寄りかかる雲雀さんの方を見る

止血に使った包帯にはもう血が滲んでいた

怪我をした雲雀さんと、力尽きて無防備状態の沢田さん

どちらを優先すべきか、選択に迷っていると

「早く行けば」

そんな言葉が聞こえた

彼を見ればそっぽ向かれてしまう

愛想の欠片もない口調だが、そこには確かな気遣いがあることに私は気づいた

ほとんど無傷に近い私と、足に傷を抱えた雲雀さん

一人で行くか、二人で行くか

時間的に考えたら前者一択だろう

でも

『い、行きましょう…雲雀さんも』

彼の服の裾を引っ張る

すると眉根を寄せ、私のことを睨んだ

雲雀さんの厚意を踏みにじるような真似をしていることはわかっている

けれど、戦いはまだ終わっていない

まだこれから予想外の事が起きるかもしれない

もしものためにも守護者全員が集まった方が良い

何より怪我人をこんなところに置いて行くわけにはいかない

「…僕は先に行けって言ったんだけど」

『お、お願いです…一緒に、来てください…

必要、なんです、雲雀さんが』

「…」

『ぉ、お願い、します…』

返事が来ないことに不安が積もる

縋るような思いで、裾を掴む手に力がこめる

少しして雲雀さんはため息混じりに言った

「君って変なところで頑固だよね」

その言葉を聞いて、表情を明るくする

『あ、ありがとうございます雲雀さん…！』

「…別に、感謝されるようなことじゃないでしょ」

『ぁ、か、肩貸しますよ』

「いらない」

怪我をしているのに普段と同じスピードで歩き出した

案の定、彼の足取りはひどく覚束ない

雲雀さんだって十分、頑固者じゃないですか…

『む、無理しないでください…』

「無理を言ってるのは君だろ」

(た、確かに…)

『でっでも、だからこそ歩くのをお手伝いしようと…！』

「余計なお世話」

『う、ぐ…』

ふらふらとしたまま歩く彼に後を追う

前を歩くと様子見れないですから

階段を降りている途中

雲雀さんがぐらりと体勢を崩す

慌てて、駆け寄り体を支える

『や、やっぱり、このまま行きましょう』

「だから─」

『もうっ！！何でそんなに頑固なんですかっ！

そんなんだから昨晩もふらついて、あんな…』

「…」

自ら墓穴を掘ってしまった

こんな状況だというのに顔に熱が集まる

『す、すいません…急ぎましょう…』