【REBORN】寡黙少女の奮闘記5 (ページ5)

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第１９５話ページ5

目をあっちこっちに泳がしながら消毒をし、血を拭っていく

(ああっ…やっぱり気まずいぃ…)

だってあの時も傷の手当てしてましたし…

二度とあんな偶然は起きないとわかっていますが

うう…頭が勝手に記憶と重ねてしまいます…

なるべく目と口以外を見ないようにして傷テープを貼る

最後に痛み止めを渡し、すぐに雲雀さんから顔を背けた

心の中で、大きくため息をつく

手当てした時間が気が遠くなるほど長く感じた

現実だと十分も経っていないというのに

まあ、何はともあれ応急処置は終わったのだ

気を少し緩めて柱に寄りかかる

すると

『？！？！！』

突然、膝に何かが触れた

驚きでひっくり返る

『な、なんっ、何ですか？！き急に…！！』

「過剰な反応だ」といわんばかりの目で雲雀さんが私のことを見た

仕方ないでしょう

急に足を触られたら誰でもびっくりしますよ

「怪我してる」

『…え？』

彼の視線の先は私の膝で

そこには擦り傷ができていた

血は滲む程度だが大きめの傷だ

『…さっき転んだときにできたのでしょうか…』

「手当てしないのかい？」

『あー…えと、もうポシェットが空っぽで…

持ってきた分は使い切ってしまったようです…』

少し多めに持って来たつもりだったがそれでも足りなかったようだ

『大したことないですし、放置でも大丈夫でしょう…』

傷口に付いた汚れを軽く拭きながらそう言うと

露骨なため息が聞こえてきた

な、何なのですかさっきから

「…君は自分のことをぞんざいに扱うのが好きなの？」

『そっ、そんなこと…』

「ある、他人の怪我なら着ている服をちぎってでも手当てするだろ

でも自分にそこまではしない」

『…』

図星だった

昔から自分を大切に扱えたことなんて無い

だって自分を一番大事にしたって、周りから…家族から愛情はもらえなかった

身を切ってでも他人を優先しないと、誰も私のことを見てくれない

一緒にいてくれない

愛してくれない

俯いたまま自分の膝を見つめる

膝全体に広がる大きな擦り傷は、私が心に抱えてきた傷みそのもののようだった

その傷を雲雀さんの着けていたネクタイが覆う

奥底にあり続ける過去の傷を包むみたいに

「別に君がどうしようとどうでもいいけど

わざわざそんな生き方しなくても君が一人になることはないんじゃない？

あの小動物みたいに君と群れたがる輩は沢山いるんだから」