第１９３話 ページ3
『いっ、たぁ…』
情けない声が荒れた空間に響いた
光が収束していき、視界は元の薄暗さに戻っていく
手探りの状態でよろめきながら起き上がる
雲雀さんは全然見つからないし
つまずいて転ぶし
散々です
折れそうになる心に支柱を立て、何とかやる気を保つ
しかしいくらやる気があったって見つかるのだろうか
荒廃した校舎内を見渡す
何か目印なりそうなものは…
『あっ』
自らの手首に目をやる
リスバンドからは外から聞こえる戦闘音を辿っていくのはどうだろう
外の轟音もあって聞き取り辛くはあるものの、何もないよりはマシだ
そうと決めたら早速、この方法で探そう
解毒は済んでいるとはいえ心配ですし
リストバンドの音は校舎の外から聞こえる音と重なってハウリングしているはず
それを聞き逃さないよう耳をそばだてながら歩く
余計な物音を立てないようそっと
そうしていると案外早くそれらしき音が聞こえてきた
恐る恐るそっちの方向へ近づいていくと
(──っ！殺気…！！)
鋭い気配を感じ取る
一瞬警戒するも、雲雀さんのものだとすぐに理解する
付近に彼がいることがわかり、ほっと息をつく
まさか、殺気を感じて安心する日が来るとは…
彼がいるであろう方に足を進める
ヒビが入ったり、一部欠けたりした柱の一つに近づく
『ひ…雲雀さん？』
名前を呼び、柱の影になったところに顔を出す
しかしそこには誰もいない
『あれ…』
おかしい
音はここからしたはずなのに
この不自然な状況に困惑していたその瞬間
頭上から風を切る音がした
何かが私の頭に振り下ろされようとしている
『ひっ…！！』
直撃するギリギリの所で、私はそれを両手で受け止めた
「何だ、君か…」
声の聞こえた方向に顔を動かす
『ひ、雲雀さ…』
そこにはずっと探していた人物が立っていた
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作者名：るるぶ | 作成日時：2024年4月16日 23時
