諦めない ページ41
．
You side
．
あたしは自他共に認める美人だ。
だからナンパも日常茶飯事。
目の前でへらへら話し掛けてくるこの男。
見た目レベル１０段階評価の３。
自分が相当イケてると勘違いしてるみたいだけど、壮絶イケメンに日々囲まれているあたしには、クソにしか見えない。
しかも、自分が身辺調査の対象だって夢にも思ってないんだろうな。
会っていた女が急に席を外したら、速攻ナンパしてきたけど、報告書に書くことが増えて仕事もやりがいがある。
依頼してきた婚約者のお父様も、さぞかしお喜びになるでしょうよ。
…さっきからペラペラうるさいけど、ちっとも頭に入ってこない。
ヘドが出るんだよ。
クズ野郎が。
『え？もう一度言ってくれる？』
頬杖をついて微笑むあたしの右手に男の手が触れた。
『だから〜君、モデルか何か？もしかして女優の卵とかさ』
『よくスカウトされるけど、興味ないの』
鼻の下伸ばしてあたしを見んな！
しかも触んじゃねえし！
『本当に？いやあ〜、こんな美人、そうそうお目にかかれないからね』
馴れ馴れしい。
これ仕事じゃなかったら張り倒してやるのに！
『あのさ、これから二人で飲み直さない？僕が所有してるコンドミニアムの最上階なんだけど』
はあ？
その部屋は婚約者の親に買ってもらったんじゃないの？
新婚生活で使うんだろが！
『ええ！すごーい。お金持ちなんだ』
『いや、大したことないよ。君を特別に招待したいな』
『行くといいことある？』
『君を天国に行かせてあげるよ』
吹き出すのを堪えてにっこり微笑んだあたしの背後に誰かが座った。
男の顔が青ざめていく。
『遅くなって悪い』
振り向くと普段見たこともない怖い顔をした隆二さんが男を睨んでいる。
本当だし！遅いってゆーの！
『俺の女になんか用？』
『いえ！僕は関係ありませんから！』
今にも絞め殺しそうな顔を向けると、あっという間に店から出ていく男。
『ごめんな、来る前に揉めてさ』
『揉めた？』
『そっ、大変なんだよこっちも』
苦笑いの隆二さんがあたしの頭を撫でた。
『このまま二人で飲みたいけど…待ってるし行くか。録音も出来たんだろ？』
『うん。バッチリ』
好奇の目に晒されながら、隆二さんの腕を取って店を出た。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 601人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「登坂広臣」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もちたゆ(プロフ) - アン様ご無沙汰しております(*^^*)続編の方なのですが書き留めていたかなりのページ数が消えてしまい意気消沈しておりました…。励みになるお言葉ありがとうございます(*^^*)頑張ろう…またのぞいてみて下さい！ (2018年10月1日 21時) (
レス) id: 5fbd8900a9 (このIDを非表示/違反報告)
アン(プロフ) - 久々来ちゃった( *´艸｀)やっぱ、吸血鬼さん大好きやわ〜〜♪( ´▽｀) (2018年9月30日 23時) (レス) id: 64b2d92415 (このIDを非表示/違反報告)
もちたゆ(プロフ) - ひろ様、コメントありがとうございます(*^^*)なかなか物語を進められず申し訳ございませんm(__)m必ず完結させますので、どうか最後までお付き合い下さい(*´ω｀*)とても励みになりました。ありがとうございます！ (2017年5月16日 22時) (レス) id: 5fbd8900a9 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - こんばんは、はじめまして。続きが気になって一気に読みたいのですがそうもいかず、ヒマを見つけては読ませて頂いてます。挨拶は最新ページまで読んでからと思っていたのですが、もう少し時間がかかりそうなので...どうなるの？吸血鬼の正体を想像しながら読んでます。 (2017年5月16日 20時) (レス) id: cbdd06dc5c (このIDを非表示/違反報告)
もちたゆ(プロフ) - 聖也様、コメントありがとうございます(*^^*)容姿完璧な主人公に対抗するには、内面の美しい良い子でなければいけないと思いました〜。でも少し可哀想だったでしょうか…( ´-｀)是非最後までご覧になってみて下さい。よろしくお願い致します(*^^*) (2017年5月5日 22時) (レス) id: 5fbd8900a9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もちたゆ | 作成日時：2017年3月9日 18時
