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『死の匂いにつられその女と出会った。すぐに黄泉の世界へ連れて行こうと思っていたが…』
紫の美しい目がカナを見つめている。
『気が変わった。死にたいと願うまでの余興を楽しむ事にした。どん底の境遇に置かれてもがき苦しむ姿を見たくなったからだ』
…宙に浮いた男から目が離せない。
酷いことを言ってるのに、どうしてそんなに寂しそうな顔をしてるの？
『……その人、どうなった？』
『…意に反して、いつも前向きだ。…全く腹立たしい』
言っている事と表情が違い過ぎる。
…この男は、いったい…。
『あなたは死神なの？それとも…吸血鬼とか？』
こんな普通じゃない状況で、どうしてこんなにも冷静でいられるんだろう。
さっきまで死のうとしていた自分も嘘の様だ。
『…死が訪れる時、教えてやろう』
そう言って微笑むと上昇し、私を見て目を細めた。
『え？だって！結局私は病気で…』
『…おまえの死期は今じゃない』
ふわっと甘く香る風。
優しく見下ろす紫の瞳をただ見つめた。
青い空に出来た闇の空間へ静かに消えていく。
男が居なくなった後も、しばらくの間呆然として椅子に座るしかなかった。
今になって出てくる妙な汗を腕で拭う。
…今見たものは…死の間際の幻覚なんかじゃない。
男は私に会いに来たんだ…。
諦めるな。
…あらがって…生きろと。
ふと足元へ視線を向けると黒い羽。
ゆっくり拾い上げると、廊下から足早に近づいてくる足音が聞こえてくる。
目を赤くした母親の姿だった。
『…今ね、先生と話てきたの』
今にも泣きそうな母親の顔を見つめる。
『…ドナーが見つかったわ！手術できのよ！』
大粒の涙が母親の頬を伝い、温かい腕に抱きしめられる。
…ああ。
私は…。
『本当に？私…まだ、お母さんと一緒にいられるの？』
『当たり前じゃない！よく…今まで頑張ったね…』
しばらく泣きじゃくっていた母親が、カナの持っている黒い羽に気がつき顔をしかめた。
『…やだ、カラスの羽？』
『…違うよ、カナのお守りなの(笑)』
遠い未来の再会に思いを馳せながら、そっと掌に包み込んだ。
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もちたゆ(プロフ) - アン様ご無沙汰しております(*^^*)続編の方なのですが書き留めていたかなりのページ数が消えてしまい意気消沈しておりました…。励みになるお言葉ありがとうございます(*^^*)頑張ろう…またのぞいてみて下さい！ (2018年10月1日 21時) (
レス) id: 5fbd8900a9 (このIDを非表示/違反報告)
アン(プロフ) - 久々来ちゃった( *´艸｀)やっぱ、吸血鬼さん大好きやわ〜〜♪( ´▽｀) (2018年9月30日 23時) (レス) id: 64b2d92415 (このIDを非表示/違反報告)
もちたゆ(プロフ) - ひろ様、コメントありがとうございます(*^^*)なかなか物語を進められず申し訳ございませんm(__)m必ず完結させますので、どうか最後までお付き合い下さい(*´ω｀*)とても励みになりました。ありがとうございます！ (2017年5月16日 22時) (レス) id: 5fbd8900a9 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - こんばんは、はじめまして。続きが気になって一気に読みたいのですがそうもいかず、ヒマを見つけては読ませて頂いてます。挨拶は最新ページまで読んでからと思っていたのですが、もう少し時間がかかりそうなので...どうなるの？吸血鬼の正体を想像しながら読んでます。 (2017年5月16日 20時) (レス) id: cbdd06dc5c (このIDを非表示/違反報告)
もちたゆ(プロフ) - 聖也様、コメントありがとうございます(*^^*)容姿完璧な主人公に対抗するには、内面の美しい良い子でなければいけないと思いました〜。でも少し可哀想だったでしょうか…( ´-｀)是非最後までご覧になってみて下さい。よろしくお願い致します(*^^*) (2017年5月5日 22時) (レス) id: 5fbd8900a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちたゆ | 作成日時：2017年3月9日 18時
