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『ったく、しつこい人だよな』
苦笑した瞳に影が落ちる。
途中だった花の世話を始める剛典が、優しく微笑んだ。
『…仕事だろ…。気をつけてな』
いつもと変わらない笑顔が余計胸に刺さる。
すべて自分が蒔いた種なのに。
長い沈黙が、二人を隔てた。
立ち尽くして動かないあたしの前で作業を続けていた手が止まる。
『俺、嘘ついた』
絞り出すような声に、体が動かない。
『…初めから？』
下を向いたままの姿が悲壮感を増長させている。
やっぱり…剛典は知らなかったんだ…。
『…Aの話…聞けばいいんだろうけどさ。…俺、最後まで耐えられっかな(笑)』
何とか笑顔を取り繕う姿に言葉が出ない。
苦悩に支配された剛典の瞳があたしをとらえた。
『…これも…仕事の延長？』
『ち、違う！』
必死に腕にしがみつくと、あたしの手に剛典の手が重なった。
『…仕事なら…好きでもない男と何でもするんだな』
歪んだ瞳にもうあたしは映らない。
冷たい声が心に滲みていく。
自分の腕からあたしの手を剥がすと、背中を向けて下を向いた。
『…早く行けよ…』
『……剛典…。あたし…ずっと！』
『頼むから………ひとりにしてくれ…』
押し殺した声にもう掛ける言葉が見つからない。
…最悪な形で…傷つけてしまった。
きちんと自分の口から伝えるべきだったのに。
あたしは…自分の事しか考えてなかった…。
ふらふらと店の前に出て歩き出すと、いつの間にかデビルが隣に並んで歩いている。
いつも美しいパープルの瞳があたしを優しく見上げた。
『…デビル』
体を擦り寄せて甘える温もりに、熱いものが込み上げてくる。
駄目だ。
自分が悪いのに…。
あたしには泣く権利さえないんだから…。
『…ごめんね…デビル』
『ニャ〜…』
『…もう…許してなんて…言えないよね…』
デビルを撫でる手の甲に、温かい滴が落ちていく。
どうしようもない孤独と闇はあたしへの罰だ。
一生をかけても、手に出来ないかもしれない何かに手を伸ばし、それを自分の手で…壊してしまったのだから…。
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もちたゆ(プロフ) - アン様ご無沙汰しております(*^^*)続編の方なのですが書き留めていたかなりのページ数が消えてしまい意気消沈しておりました…。励みになるお言葉ありがとうございます(*^^*)頑張ろう…またのぞいてみて下さい！ (2018年10月1日 21時) (
レス) id: 5fbd8900a9 (このIDを非表示/違反報告)
アン(プロフ) - 久々来ちゃった( *´艸｀)やっぱ、吸血鬼さん大好きやわ〜〜♪( ´▽｀) (2018年9月30日 23時) (レス) id: 64b2d92415 (このIDを非表示/違反報告)
もちたゆ(プロフ) - ひろ様、コメントありがとうございます(*^^*)なかなか物語を進められず申し訳ございませんm(__)m必ず完結させますので、どうか最後までお付き合い下さい(*´ω｀*)とても励みになりました。ありがとうございます！ (2017年5月16日 22時) (レス) id: 5fbd8900a9 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - こんばんは、はじめまして。続きが気になって一気に読みたいのですがそうもいかず、ヒマを見つけては読ませて頂いてます。挨拶は最新ページまで読んでからと思っていたのですが、もう少し時間がかかりそうなので...どうなるの？吸血鬼の正体を想像しながら読んでます。 (2017年5月16日 20時) (レス) id: cbdd06dc5c (このIDを非表示/違反報告)
もちたゆ(プロフ) - 聖也様、コメントありがとうございます(*^^*)容姿完璧な主人公に対抗するには、内面の美しい良い子でなければいけないと思いました〜。でも少し可哀想だったでしょうか…( ´-｀)是非最後までご覧になってみて下さい。よろしくお願い致します(*^^*) (2017年5月5日 22時) (レス) id: 5fbd8900a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちたゆ | 作成日時：2017年3月9日 18時
