彼女の過去 ページ24
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小さな鉄筋コンクリートの建物の中を進む。
学校のようなものを勝手に想像していたが、だいぶ違っていた。
雰囲気は普通の家と何ら変わらない。
遠くで小さな子供の声が聞こえる。
応接間に通され、しばらく窓の外を眺めていると、白髪の年配の女性が笑顔で部屋に入って来た。
『お待たせしてごめんなさいね。』
『お忙しいところ、こちらこそすみません。』
『いいえ、訪ねて下さって嬉しいわ。私が施設長の吉田です。どうぞお掛けください。』
無理をして時間を作り、Aが子供時代を過ごした児童養護施設に来ている。
一礼して腰を下ろし名刺を差し出すと、眼鏡をずらし吉田が目を細めた。
『貴方が登坂さんね、Aから聞いてます。』
『…Aに、ですか？』
『ええ、あの子、ここを出てからしばらく音信不通だったの。それが今の仕事に就いた頃かしら…突然連絡してきて近況報告してくれたのよ。怖いけど信頼できる先輩がいるってね。こんなにいい男とは聞いてなかったけど。』
目尻にシワを深く刻んで優しく微笑んだ。
『あなたの事よ、登坂さん。Aの力になってくれて…ありがとうございます。』
『…俺は大したこと、していません。』
『ずっと見てたから分かるわ。あんなに嬉しそうに自分の事を話すなんて…ここで暮らしていた頃には想像もつかないもの。』
思いを巡らすように、少し遠くを見ると小さく息をついた。
『…Aの心の病は、登坂さんが思う通り、生い立ちにあると思います。恐ろしい記憶を拒絶し封印してしまっているんでしょう…。幼かったあの子には、そうする事でしか自分を守ることが出来なかった…。』
穏和な雰囲気から一転、厳しい顔つきで吉田が口を開く。
『これからお話しする事は、Aが施設に入所する事になった原因です。…本人も知りません。今となってはこの施設でも私以外知るものはいないでしょう。』
悲痛な表情で登坂を見つめる。
『あなたに、お話しても…構いませんか？』
目をそらす事なく、真っ直ぐに吉田を見据えた。
『心の準備はとうに出来てます。Aを守る為にここへ来たんです。』
登坂の言葉に心なしか瞳を潤ませると、しっかりとした口調で過去を語り始めた。
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もちたゆ(プロフ) - アン様ご無沙汰しております(*^^*)続編の方なのですが書き留めていたかなりのページ数が消えてしまい意気消沈しておりました…。励みになるお言葉ありがとうございます(*^^*)頑張ろう…またのぞいてみて下さい！ (2018年10月1日 21時) (
レス) id: 5fbd8900a9 (このIDを非表示/違反報告)
アン(プロフ) - 久々来ちゃった( *´艸｀)やっぱ、吸血鬼さん大好きやわ〜〜♪( ´▽｀) (2018年9月30日 23時) (レス) id: 64b2d92415 (このIDを非表示/違反報告)
もちたゆ(プロフ) - ひろ様、コメントありがとうございます(*^^*)なかなか物語を進められず申し訳ございませんm(__)m必ず完結させますので、どうか最後までお付き合い下さい(*´ω｀*)とても励みになりました。ありがとうございます！ (2017年5月16日 22時) (レス) id: 5fbd8900a9 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - こんばんは、はじめまして。続きが気になって一気に読みたいのですがそうもいかず、ヒマを見つけては読ませて頂いてます。挨拶は最新ページまで読んでからと思っていたのですが、もう少し時間がかかりそうなので...どうなるの？吸血鬼の正体を想像しながら読んでます。 (2017年5月16日 20時) (レス) id: cbdd06dc5c (このIDを非表示/違反報告)
もちたゆ(プロフ) - 聖也様、コメントありがとうございます(*^^*)容姿完璧な主人公に対抗するには、内面の美しい良い子でなければいけないと思いました〜。でも少し可哀想だったでしょうか…( ´-｀)是非最後までご覧になってみて下さい。よろしくお願い致します(*^^*) (2017年5月5日 22時) (レス) id: 5fbd8900a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちたゆ | 作成日時：2017年3月9日 18時
