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案の定、呼び出しをくらった健二郎と別れたAは、悲痛な面持ちで目的地を目指していた。
休日の度、少しの時間を見つけては岩田に会いに行く。
…側にいたい。
理屈じゃない。
どんなに足掻いても、気持ちは偽れない。
心の中は彼の温もりで埋め尽くされていた。
空に薄暗い影が伸びる。
天気予報は確か晴れのはずなのに。
空模様と同じように、胸がざわつき不安なのは過去の話を聞いたからなのか。
…それとも…。
駅までの道でふと違和感を感じ立ち止まった。
嫌な汗が額に浮かんでいく。
何度か感じているであろうこの感覚は…。
……お願い。
今は止めて。
願いは空しく、目に見える早さで辺りが暗くなっていく。
耳に不協和音が響く頃には、これから起こる出来事を予測出来るぐらいに、記憶が呼び戻されていった。
空から黒い羽が落ちる…。
前方に降り立った黒い影。
少しずつ近づくと、紫色の瞳の主がAに微笑みかけた。
『…何しに来たの』
『つれないな。そろそろ会いたかっただろう？』
『…あんたに用なんかない』
紫の瞳に向けられた鋭い視線を絶対にそらさない。
『相変わらず面白いお嬢さんだ』
楽しそうにAの頬に触れた。
『あんた何者なの？あたしに付きまとうのは何故？どうして殺さなかった？』
『質問が多いな』
頬に触れる指先の冷たさを感じながらも、怯みもしない瞳をじっと見つめるA。
『ひとつだけ、答えてやろう』
冷酷な顔が目前に迫る。
『おまえはいずれ俺が連れて行く。それまで好きに生きるがいい』
顔と顔が触れそうな距離からゆっくりと後退し、羽を翻した。
『どういう意味？！ねえ！まだ話は終わってない！』
強い風を腕で遮りながら声を上げた。
『待ちなさいよ！…あんたが…吸血…鬼…なの？』
手を伸ばすけど、男には届かない。
霞んでいく景色の真ん中で、紫色の瞳がじっとAを見つめている。
不思議と恐怖は感じない。
それどころか懐かしい感覚に戸惑う。
『…あんたは…あたしの知って…る人に…似…てるの…』
…行か…ないで…。
男の唇が動く前に、記憶は再び闇に溶けていった。
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もちたゆ(プロフ) - アン様ご無沙汰しております(*^^*)続編の方なのですが書き留めていたかなりのページ数が消えてしまい意気消沈しておりました…。励みになるお言葉ありがとうございます(*^^*)頑張ろう…またのぞいてみて下さい！ (2018年10月1日 21時) (
レス) id: 5fbd8900a9 (このIDを非表示/違反報告)
アン(プロフ) - 久々来ちゃった( *´艸｀)やっぱ、吸血鬼さん大好きやわ〜〜♪( ´▽｀) (2018年9月30日 23時) (レス) id: 64b2d92415 (このIDを非表示/違反報告)
もちたゆ(プロフ) - ひろ様、コメントありがとうございます(*^^*)なかなか物語を進められず申し訳ございませんm(__)m必ず完結させますので、どうか最後までお付き合い下さい(*´ω｀*)とても励みになりました。ありがとうございます！ (2017年5月16日 22時) (レス) id: 5fbd8900a9 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - こんばんは、はじめまして。続きが気になって一気に読みたいのですがそうもいかず、ヒマを見つけては読ませて頂いてます。挨拶は最新ページまで読んでからと思っていたのですが、もう少し時間がかかりそうなので...どうなるの？吸血鬼の正体を想像しながら読んでます。 (2017年5月16日 20時) (レス) id: cbdd06dc5c (このIDを非表示/違反報告)
もちたゆ(プロフ) - 聖也様、コメントありがとうございます(*^^*)容姿完璧な主人公に対抗するには、内面の美しい良い子でなければいけないと思いました〜。でも少し可哀想だったでしょうか…( ´-｀)是非最後までご覧になってみて下さい。よろしくお願い致します(*^^*) (2017年5月5日 22時) (レス) id: 5fbd8900a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちたゆ | 作成日時：2017年3月9日 18時
