最低な日々に｜wtnb (ページ10)

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Aさんが、QuizKnockを辞めると聞いて4ヶ月半が経った。

今日が最後の出勤だ。

3時間前から始まったAさんのお別れ会は、時が経つごとに盛り上がりを増している。

皆が優しい雰囲気を纏う中、俺だけはそんな気分にはなれなかった。

Aさんのことを諦めたくないという気持ちが大きくなっていることに気づいてしまったのだ。

これは伊沢さんにも言っていない、俺だけの秘密。

もちろん、Aさんにも言わない。

『こうちゃん？』

「はい？」

『考え事？』

そう言い、烏龍茶の入ったグラスをテーブルに置いて俺の隣の席へ座った。

「いや、違います」

そう言って、俺はビールを喉に通した。

『この前のこと気にしてる？』

『公園でのこと』

「……まぁ、多少」

『ごめんね、忘れていいから。全部。』

俺は俯いたAさんの横顔を見つめたあと、言葉を探した。

今、この人に掛けてあげるべき言葉を。

「……俺、ずっと考えてたんです。」

『何を？』

「これから、どうするべきか」

「Aさんが困ること言ってもいいですか？」

『なに？』

周囲は二次会に行こうと席を立ち始めていた。

「水埜さん、こうちゃん、二次会行くよ～」

『もうちょっとここで飲んでから行くね、ビールもまだあるし』

そう言って、Aさんは俺のビールグラスを持って一気にビールを飲み干した。

俺は目を丸くするだけで何も言えなかった。

「じゃあ、先行っとくね」

『うん』

皆が出ていったのを確認し話を始めた。