鬼と人の狭間

八話 ページ10

『炭治郎さん？』

目の前で俺に問いかけて首を傾げるAちゃん。

初めて会った時は、女の子の困惑する匂いに混じって、後悔と迷惑のような匂いがした事に驚いて、彼女を見た。

彼女は善逸を冷めた目で見つつ、俺にキラキラとした顔を向けた。

ああ、悪い子ではないんだな。

そう思った矢先、鼻についた匂い。

あの不快な匂いがしなかったから分からなかったけど、彼女からは鬼舞辻の匂いがした。

でも、陽の下で生きている。

その事実が俺を悩ませた。

もしかして、人間の振りをした鬼舞辻に騙されている人なんじゃないかと。

そう自分を納得させた俺は、彼女に危険が及ばないよう一緒に居ないと、と考えた。



だからこそ、信じられなかった。

一瞬で正一君の傍から俺の所にいた相手の前まで移動し、かつ拳圧で相手を失神させた。

その速さに、

その強さに。

彼女を信用しきっている善逸には申し訳ないけど、

俺は、Aちゃんを信じることが出来ない。

鬼なんじゃないかって、日光を克服したんじゃないかって、

疑ってしまうから。

善逸がAちゃんと話している。

Aちゃんは人を襲う気配が無い。

きっと匂いからして食べたことも無いだろう。

なのに、とてつもない強さだった。

それはきっと、鬼舞辻に近い鬼だということではないだろうか。

一度目についた綻びは、消えることなく俺の心に重くのしかかった。


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answer comments

A i様＞＞読んでいただき有難うございます。良かったと言う言葉がとても光栄です。これからもこの作品にお付き合いください。

布袋尊様＞＞読んでいただき有難うございます。不定期の更新にはなりますがなるべく早く続きを読んでいただけるよう精進して参ります。どうか楽しんでいただけると幸いです。

ひな様＞＞読んでいただき有難うございます。面白いと言っていただけるのがとても励みになります。またそう言って頂けるような作品にしていきます。

コメントありがとうございます。
たくさんの方に読んでいただきまして、高評価やお気に入り登録も増え、更新を続けられるのも皆様のお陰です。
作品の完結まで、皆様にお付き合いいただけましたらと存じます。

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