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七話 ページ9

私情により更新が空いてしまいすみませんでした。

本編再開致します。

−−−

炭治郎さんは、目の前の状況を理解出来ていないようだった。

いや、あるいは何か過去のトラウマと重なっていたのかもしれない。

私は、ここで動けば確実に疑われる。

旦那様に、迷惑がかかってしまう。

でも、少しの間だったけれど、善逸さんに情が湧いているのも事実だ。

「お前を箱ごと串刺しにしてやる!!」

……耐えられない。

私が、一歩踏み出そうとしたその時。

「やめろ!!」

炭治郎さんが、叫んだ。

一瞬にして獣の少年の前に移動し、肋骨に拳を叩き込む。

酷く大きな音がして、少年は後ろに吹っ飛んだ。

確実に骨が折れているだろう。

何時もなら顔を背けるような場面だけど、私は目をそらせない。

善逸さんは、思ったよりも平気そうで、ボロボロの顔で精一杯驚きを表していた。

……私は、何もしないの?

善逸さんは、炭治郎さんを信じて箱を守った。

炭治郎さんは、善逸さんの為に獣の少年と戦っている。

じゃあ、私は?

私を拾ってくれた、笑いかけてくれた善逸さんに対して、何も出来ないの……?

見れば、体術で戦っている炭治郎さんは、類まれなる少年の身体能力に少々劣勢にも見える。

私が、やるしかない。

……ごめんなさい、旦那様。

『ねえ、少年。』

小さく呟く。

そして、一歩踏み出して、

「あ"?」

少年の顔の前に拳を突き出す。

周りの空気が、音が、一瞬止まって、

バン、と大きな破裂音が響いた。

「「ッ」」

炭治郎さんと善逸さんが同時に息を呑む。

少年の被り物が吹っ飛び、その素顔が日を浴びる。

少年は何が何だか分からない…そんな表情で私を見た。

「何やってんだお前!!この俺、嘴平伊之助に何の用だ!!」

『おやすみなさい。……善逸さんに貴方がしたこと、忘れませんから。』

私は少年の言葉に応えず、そう言って善逸さんの方に顔を向けた。

善逸さんは固まっていた。

そして、ゆっくりと口を開いた。

「…ありがとう、Aちゃん。」

私はにっこり笑って、彼の方に駆け出した。

後ろで、少年が倒れる音がする。

「え"え"え"え"え"!!」

高く濁った叫び声が、青空に響いた。



ずっと、変だと思っていた。

あまりに白く、細い体。

妹だと善逸は言ったけれど、どう考えても匂いが違いすぎる。

そして、その体に染み付いた濃い鬼舞辻の匂い。

でも、鬼のように鼻にまとわりつく悪臭はしなかった。

彼女は、一体何だ…?

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あす(プロフ) - 夏風邪が早く治るといいですね(*^^*) 続きいつも楽しみにしています。 これからも頑張って下さい!!!! (2019年7月18日 0時) (レス) id: ca71b1eaaf (このIDを非表示/違反報告)
meika(プロフ) - ウッ(心肺停止)、、、なにこれ夢主ちゃん可愛いぃぃい!! (2019年7月10日 18時) (レス) id: 2daad6deba (このIDを非表示/違反報告)
A i - 読んでみて凄い良かったです! (2019年7月6日 22時) (レス) id: 7938bbdbeb (このIDを非表示/違反報告)
布袋尊(プロフ) - 続きがみたいィィィィィイ (2019年7月6日 17時) (レス) id: 4e763fa650 (このIDを非表示/違反報告)
ひな - 面白いですうううう(><) (2019年7月6日 14時) (レス) id: 162618ebf0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:綾辻桃瀬 | 作成日時:2019年6月30日 13時

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