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六話 ページ7

……私は、何を見せられているのだろうか。

そろそろ日が暮れるね。なんて男の子と喋りながら炭治郎さんを待っていたはずが、

「俺と、戦え!!」

善逸さんが獣の少年に突っかかられている。

可哀想だけど、関わりたくはない。

『……炭治郎さん、まだかなぁ。』

すると、何を思ったか、彼は木箱を攻撃しようとし始めた。

木箱の中には恐らく、鬼……それも、旦那様に多くの血を貰った鬼が入っている。

でも、気配が変だ。

淀み、生臭い気配がしない。

もしかして、人を食べた事が無い…?

私と同じような子が居たんだ!!

ほころぶ顔の前で彼が刀に手をかける。

だが、彼の刃が木箱に届くことはなかった。

「っだ、駄目だよ!!これは炭治郎の命より大事なものなんだ!!!」

善逸さんが木箱を庇ったからだ。

……へえ。鬼になった血縁、とかかな?

甘い考えに少々ため息が出そうになる。

まあ実際人は襲っていないようだし、最終的には間違っていなかったと言えるけど。

目の前では木箱を庇う善逸さんが獣に殴り、蹴られている。

ここは仲裁に入らない方が良さそう。

早く炭治郎さんが来てくれることを祈りながら、私は隣の男の子の視界をそっと隠した。



『……あ。』

鬼が死んだ。

炭治郎さんが倒したらしい。

女の子もその血縁の少年も無事なようだし、……って、炭治郎さんが倒した??

鬼の子連れてる時点で大丈夫だとは思うけど、鬼殺隊だよね?

死なないけど、旦那様の為にも気づかれないようにしないと……。

男の子の目を覆っていない方の手を顎に添える。

考え事をするときの癖だ。

『…どうしよっかな……。』

取り敢えず善逸さんにはさっきの床のことは黙ってて欲しいな、と思った。



後ろで、炭治郎さん達の気配がした。

依然、善逸さんは蹴られている。

どうなるかは一目瞭然。

「刀を抜いて戦え、この弱味噌が!!」

立ち尽くす炭治郎さん。

顔を上げる善逸さん。

弱々しく掠れた声で、

「炭治郎…俺…、守ったよ……。お前が…これ…命よりも大事なものだって…、言ってたから……。」

そう言って微笑む。

傷だらけの腫れた顔はとても痛々しかった。

何だか気まずくなって目をそらす。

辺りに何とも言えない空気が広がった。


−−−

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沢山の方々に読んでいただけて本当に光栄です。

次回は番外編です。

番外編一→←五話



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あす(プロフ) - 夏風邪が早く治るといいですね(*^^*) 続きいつも楽しみにしています。 これからも頑張って下さい!!!! (2019年7月18日 0時) (レス) id: ca71b1eaaf (このIDを非表示/違反報告)
meika(プロフ) - ウッ(心肺停止)、、、なにこれ夢主ちゃん可愛いぃぃい!! (2019年7月10日 18時) (レス) id: 2daad6deba (このIDを非表示/違反報告)
A i - 読んでみて凄い良かったです! (2019年7月6日 22時) (レス) id: 7938bbdbeb (このIDを非表示/違反報告)
布袋尊(プロフ) - 続きがみたいィィィィィイ (2019年7月6日 17時) (レス) id: 4e763fa650 (このIDを非表示/違反報告)
ひな - 面白いですうううう(><) (2019年7月6日 14時) (レス) id: 162618ebf0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:綾辻桃瀬 | 作成日時:2019年6月30日 13時

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