君は空を飛べない【呪術廻戦】 (ページ3)

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２話ページ3

「A、４人で夏祭り行こーぜ」
「いつ？」
「来週の日曜だそうだよ、空いてるかい？」
「おー、空いてる！」
「決まりだな！後で硝子に伝えとく！」

運動場で訓練をしながら話す。
Aは四月頃はまだやられっぱなしだったが、いつのまにか私たちの動きについていけるようになっていた。曰く、術式が弱いからせめて体術を鍛えなきゃ、とのことだ。呪力量も多いから最近は打撃が重い。見かけによらずちゃんと研究してるんだなぁ。真面目だなぁ。

「夏油、よそ見！あっ」

ノールックで蹴りを躱すと彼女は地面に落ちる。綺麗に受け身を取った。さすがだ。

「よし、そこまで！休憩だ！」
「ハーイ！」

夜蛾先生の合図に勢いよく返事するA。カワイイ。

階段に腰かけると携帯が鳴る。メールだった。

「傑ぅ、女？」
「・・・中学の元カノ」
「オッエー、傑の女たらし！」
「まだ連絡取ってるんだ」
「会話がなかなか終われなくてね」

最悪だ。Aに見られてしまった。
もう終わった女と話し続ける趣味はないが高専に入るときに別れたので別れ方が曖昧だったのが悪い。でももう終わりにしよう。
"もうこういうのやめよう。お互い次に進もう。"
急いでそう打って送った。

「やだぁ、傑クンのクズ！」

大きくため息をつく。悟を叱る気にもなれない。

「おい怒んなって！俺硝子んとこ行ってくる！」
「行ってらっしゃい」

さて、２人きりだ。私だけ勝手に気まずい。

「ねぇ夏油、夏祭りって浴衣着るよね？」
「え？ああ、どうだろう・・・実家にあるかな」
「なかったら五条がいっぱい持ってるから借りたらいいと思う」
「あー、五条家パワー凄いね」

A、夏祭りで浴衣着るのか。可愛いだろうな。絶対可愛いだろうな。

「硝子、了解だってさ」
「お、おかえり悟」
「休憩終了！再開だ！」
「ハーイ」

Aは今度は若干気だるげに答える。正直だなぁ。

私、Aのこと結構本当に好きだな。どうしよう。

******

「硝子ぉ・・・」
「知らねー！勝手にしろよどうせ脈アリだよ」
「えっ」
「付き合いたいんだろ」
「あ、どうだろう・・・」

付き合いたいとか考えなかったな。ただただ好きとしか。
でも考えてみれば付き合いたい。よし告白しよう。

「ありがとう硝子！」
「１カートンな」

勢いづいて放課後の教室を出たがそんな勇気は簡単には湧いてこない。普通の日に告白するのは少し怖くもある。
となると夏祭りがチャンスだな。

ぼんやりそう思って寮へ戻った。