【ブラクロ】猫耳天然魔導士は、黒の暴牛団副団長。 (ページ4)

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♯3　優しいお兄さんページ4

｢火と風の合成魔法……それに、高威力の光魔法と高度な回復魔法……すごい！！キミ、ただ者じゃないね！！｣

目をキラキラさせたお兄さんが茂みから現れ、声をかけてきた。
この人、いつの間にそこにいたんだろう…
全く気づかなかった……

私が獣人だとバレれば、何をされるかわかったものじゃない。
かぶっていたフードを深くかぶり直し、その人を観察してみる。

金髪のお兄さん。貴族かな…？なんか王様みたいな服装をしているけど、
優しそうだし、キラキラした瞳……

…なんか…ちょっと可愛いかも……？
なんて思っていると、お兄さんは嬉しそうに微笑んだ。

しかし、そこであることに気が付く。

…この人……すごい魔力を持ってる…？

体中に伝わる魔力は、今までで一番強力だった。

……貴族なら、私を殺しに来たのかもしれない。
そう思ったはずなのに、キラキラとした笑顔のせいで警戒心は簡単に溶けてしまった。

『私はAと言います…あなたは？』

｢私はユリウス……そ、それは、あらゆる属性魔法を使いこなすといわれている、虹色四葉のグリモワール！抜け出してきた甲斐があったよ～！」

また目をキラキラさせているユリウスさん。この人、魔法マニアか何かかな…

ふつうの人はもっと自分のことを話したがるのに、この人は名前しか教えてくれなかった…
意外な反応に驚いていると、

「ほかにはどんな魔法を使えるのかな？良ければ見せて！お願いっ！！」

と、ユリウスさんが可愛い顔でお願いするものだから断れず、魔法を見せるはめになった。
うわあ、なんか試験みたいで緊張する…！

最近習得した防御魔法とトラップ魔法を放つ。

『えーっと、ユリウスさん…ど、どうでしょうか…？』
再び声をかけると

「やっぱりすごいよ…！！うん…決めた！その敬語は無しにしようっ
……それに、隠さなくていいよ」

ユリウスさんは、
柔らかく微笑み、そっと私のフードを取った。

…そんなことをしたら、猫の耳が見えてしまう…！

『……っ！』

初めから獣人だってこと、バレて…！？

頭によぎるのは両親を殺した貴族たち。やっぱり私を狙って・・・！？

心臓がバクバク音を立てる。

…でも、違った。

「私とAは、今日から友達だからね」

ユリウスさんは頭をそっと撫でてくれた。

私のことを友達だなんて言ってくれた人は初めてで…。
懐かしい感触に、自然と涙が流れてしまっていた。