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♯1 過去の記憶 ページ2

獣人。
それは、獣の血が混ざった人間のことを指す。
私たち一族は、獣人だ。


***

『お母さん!私、大きくなったら、魔法帝になりたい!』


「そうなの?ふふっ、魔力の強いAなら、なれるはずよ!諦めずに頑張りなさい」


「そうだね!きっとなれる。応援してるぞ!」


そう言って、優しく頭を撫でてくれたお母さんと、微笑んでくれたお父さん。
私は、たとえ貧しくても、この家族が大好きだった。


そして、とても幸せだった。


でも、突然その日常が崩れていくなんて、思いもしなかったんだ__


***

それは、ある晴れた日、家でお母さんとお父さんと一緒に食事をしていたときのこと。

バンッと音がしていきなりドアが蹴り破られた。
急いで振り向くと良い身なりをした貴族が集まっていて、なぜかグリモワールを掲げていた。



「お前ら獣人の一族は、もうお前ら三人しかいない!人間でも獣でもない半端な下民は、正義の名のもとに我らが貴族が、処刑することにした!」



貴族が口にした言葉は、そのときまだ6歳の私が意味を理解できるはずもなく。

どういうことなんだろう……?と思った私は、
頭に浮かんだ疑問をそのままぶつけた。

『……何を言っているの?貴族ってなに?みんな同じ命をもった、同じ人間だよ?』



私がそう言うと、一瞬でみんなが青ざめた。


「お、お前こそ何を言っている!?ふざけるな!人間でも獣でもない下民のガキが!!」



貴族の人たちはなぜか、余計に怒ったようだった。


……それも、私には理解できなかった。



獣人で何が悪い?


獣人は、普通の人よりも魔力、運動神経ともに優れている。
そのうえ、私たちはあらゆる属性の魔法を使うことができるのだ。


なぜお前たちが私たちを見下しているの?
どうして、事実を言われただけで怒るの?


……わからなかった。




***


「さぁ、走って!速く!!遠くの村まで行くんだ!!」


『い、やだ……お母さん、お父さん……!』


「大丈夫よ!教会に行きなさい!私たちも後で行くから!」


必死で攻撃を防いでいるお父さんと、反撃に出るお母さん。

私がここにいては両親の足手まといだ
でも、この数の貴族が相手ではいくら獣人でも……


涙が溢れた。両親に背中を押され、走った。
ずっと遠くまで走った。

最後に見たのは、数十人の貴族と戦う両親の姿と、ボロボロに崩れていく家だった。

それが、私の古い記憶。


それから、私が両親の姿を見ることは二度と無かった。

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チョコチップ - とても面白かったです!更新待ってます! (2022年4月6日 13時) (レス) @page16 id: 634191f277 (このIDを非表示/違反報告)
ラス(プロフ) - 楽しみに待たせて頂きます(^^) (2020年4月19日 0時) (レス) id: 1f177645ae (このIDを非表示/違反報告)
4月生まれなのに雛人形(プロフ) - とても面白くて続きが気になります!これからも無理しない程度に更新、頑張ってください! (2019年9月4日 15時) (レス) id: e95920caaa (このIDを非表示/違反報告)
シルバーウルフ - 前団挙手じゃなくて全団挙手だよ。 (2019年4月14日 23時) (レス) id: 769a4deb70 (このIDを非表示/違反報告)
シルバーウルフ - 紹介出来そうな相手は居た!? (2019年4月14日 23時) (レス) id: 769a4deb70 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:うさまる x他2人 | 作成日時:2019年3月25日 12時

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