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夜ひそか ページ9

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静かにドアを少しだけ開けて、その隙間にそうっと足を挿し入れた。部屋の主を起こさないように、あくまでも慎重に。

どうにか身体を滑り込ませると、ドアの隙間から漏れる光で目を覚ましてしてしまわないように、開けた時と同様、後ろ手で音を立てずに閉める。

ほっと胸を撫で下ろすと同時に、なんだか泥棒になったみたいだ、と自己嫌悪がレイヤを襲った。…あながち、間違った例えでもないのだが。

さてその泥棒よろしく、獲物ーもとい本を探してレイヤは部屋を見渡した。といっても豆電球すら付けてない真っ暗の中、特定の物を見つけるのは難しい。自身の力を使えば光なんてすぐに手の上で灯せるのだが、流石にこんなことに力を使うわけにもいかない。仕方なく闇に目が慣れてくるのを待つ内、唯一部屋の中で光を放っているものが目に入った。サーヤの枕元に置かれている、携帯ー正確には携帯とそれが差し込まれている充電器ーである。電気を得ていることを示すかのようにほのかな赤い光がぽつりと灯っていた。

それを中心にようやく目が慣れてきたらしい、なんとなくどこに何があるのか分かるようになってきた。目を凝らすと、かろうじてサーヤの机の上に目的の本が置いてあるのを見つけた。

足音を立てないよう、そして間違ってでもサーヤを踏んでしまわないようー爪先立ちで、ゆっくりと隙間をぬって歩いていく。ようやく机の前まで来ると、本を手に取った。目を細め題名が望むものであることを確認すると、表紙を開いてぺらぺらとページを繰る。滞りなくめくられていたページが途中で引っかかると、そこで手を止め中に挟まれていたものを抜いた。

レシート、である。この紙切れ一枚のためだけに、泥棒のようにサーヤの部屋に忍び込むことになったのだと思えば、これとこれを挟んだ自分の迂闊さに殺意が湧いてくる。が、どうにかそれをレシートを握り潰すだけに抑えると、本を閉じて元の場所に戻した。戻す前とズレがないように縦と横の歪みまで揃える。

そこでようやく、レイヤは一息つくことができたのだが。気が抜けたことによって聞こえてくる規則正しい寝息によって、またもや緊張感に包まれてしまったーまだ、ここから出るという難問が残っている。

夜ひそかー2→←僕が本を読む理由ーあとがき



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(プロフ) - ゆうたんさん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです。更新頑張ります! (2016年7月28日 21時) (レス) id: 5aa2eaac6e (このIDを非表示/違反報告)
ゆうたん - とってもおもしろいです!再新頑張ってください(^▽^)/   (2016年7月26日 13時) (レス) id: 9ccd65c474 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - チカさん» ありがとうございます!21巻は読んでていろいろと大変でした…。更新頑張ります〜( ´ ▽ ` ) (2016年6月21日 20時) (レス) id: 5aa2eaac6e (このIDを非表示/違反報告)
チカ(プロフ) - 高校合格おめでとうございます。21巻は確かにヤバかったですね!ゆっくりでも良いので更新頑張ってください(*^^*)応援してます! (2016年6月21日 6時) (レス) id: b0a8b8ef26 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ゆうさん» 返信遅くなりすみません。コメントありがとうございます!読みやすさは個人的にはまだまだですが、そう言っていただけると有り難いです(o^^o)黎紗好きさん!!!周りにいないので本当に嬉しいです( ; ; )ふたりいいですよね…!続きの執筆頑張ります! (2015年5月24日 12時) (レス) id: 5a1aaa4d08 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2015年4月27日 0時

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