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Aside
大「…川上達也って知ってますか?」
少しの沈黙のあと、彼は私にこう聞いた。
「はい、有名な方ですよね?」
川上達也。
今をときめく有名カリスマ社長だ。
28歳という若さで会社を立ち上げ、1年足らずで大成功を収めた、将来を有望されている人の1人。
大「そいつ、俺の高校の同級生なんです。」
高校の、同級生…
大「まあ、『親友』やったんかな。毎日ずーっと一緒におって。
あいつは昔からクラスの人気者で、友達もたくさんおった。せやけど、何でかいつも俺のところにおって。お互いに夢とかをよく語り合ってて。
高校出てもあいつとは連絡とってて、それで、1年半くらい前やったかなー、あいつに「会社を一緒に立ち上げないか」って誘われて。一緒にやるならお前しかおらんって。
俺、そういうの全然わからへんかったし、自信もなかったんですけど、達也がそんなに言うなら、少しでも力になれたらええなって思って、協力しました。
最初は良かったんです。せやけど、会社が成長していけば行くほど、あいつは変わっていって、お金の話ばっかりするようになった。お金のためなら、方法を選ばなくなって…
俺、このままやあかんって思って、達也を説得しました。せやけど、そんなときに、社内で起こったトラブルの責任がいつの間にか俺に回ってきてて…達也には弁解したんやけど、信じてもらえなくて、クビになったんです。
せやけど、クビになった3日後に、会社を立ち上げる時にした借金の返済請求書が来て、俺と、達也2人で返していこうって話だったんやけど、それが俺1人に変わっとって、
そん時に初めて、達也に裏切られたんやってわかった。信じてもらえなかったんやなくて、最初からこうなるように仕向けられてたんやなって。」
「…告発とか、しなかったんですか?」
大「しようと思った。せやけど、できひんかった…。その日から、借金取る人が毎日来て、請求書もいっぱい来て、俺の金はすぐ底をついた。
告発しようにも、弁護士とか雇うお金もないし、両親ももうおらんから頼れる人もいてへん。まともに家賃払えへんから家も追い出されてもうて…。
もう、何にも無いんです。俺には。」
大倉さんは、泣いていた。
事故の直前の、彼の顔が浮かぶ。
「…それでも、私は、あなたに死んでほしくない。」
大「え?」
「…私に、大倉さんが生きるお手伝いをさせてください。」
私が、幸せにしなくちゃ。
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もちこ(プロフ) - さなさん» はじめまして!そう言っていただけて光栄です… これからも頑張っていきますのでよろしくお願い致します!コメントありがとうございました! (2022年3月10日 19時) (レス) id: 00a139ae99 (このIDを非表示/違反報告)
さな - 初めまして。前作の丸山さんから読んでいます。次の展開楽しみにしています。 (2022年3月10日 17時) (レス) @page29 id: 603606fd19 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もちこ | 作成日時:2021年4月25日 8時