●《獅子に牡丹》理央 ページ26
.
臨獣殿に君臨する�犢�獅子�瓩海藩�央と、�倏鮖盪勠瓩海帆仍劼遼紊瞭狃錙�
臨獣ライオン拳の使い手である二人は�狒估�の獅子�瓩醗擇譴蕕譟⇔彌壇造鯏�治していた。
しかし、リンシーやリンリンシーの前に立つのは理央のみ。
メレでさえ数回しか会ったことのないAは、本殿から離れた場所に建つ屋敷にいつも居る。
理央とAだけが立ち入ることを許された、二人だけの安寧の場所。
世界が寝静まる頃、理央がAの部屋を訪れると、窓際に膝を抱えて嗚咽をもらす少女が、仄かな月明かりに照らされていた。
「ひっく……ｸﾞｽｯ……ううっ。」
その傍で膝をつき、理央は顔を覗き込むようにAに訊ねた。
「A、なぜ泣いている？」
「分から、ない。……でもっ、なぜか涙が止まらないの。」
それでも尚、涙をポロポロと溢し続けるA。
見かねた理央は、Aを抱きかかえて寝具に腰掛ける。
優しく髪を梳きながら、涙の理由を問う。
「何がお前を悲しませる？」
「──私、一人になりたくない。理央が……もし理央がいなくなったら私、生きていけないよ。」
ポロポロと溢し続けるAは、理央にしがみつくように腕を回したA。
理央はそんなAに、ちゅ、と頬を伝う涙を吸うような口づけを落とす。
「どうやら俺には、強さへの渇望と同じくらい、Aへの執着心があるようだ。」
「理央……も？」
涙に濡れたAの瞳が、理央を見つめる。
「あぁ。Aが居ない世界を、俺も思い浮かべられなかった。……それだけじゃない。Aに涙を流させるこの世界そのものが憎い。」
「……じゃあ、二人でどこかに行こう。誰にも邪魔されない場所で、ずっと二人でいよう？」
Aの言葉に、理央は頬を撫でて応えた。
互いを求める執着心と熱情が妖しく絡みあう。
「そうだな。悲しみも苦しみも無い場所で、身も心も溶け合うくらい交わり続けよう。」
「っ、んっ。……り、おっ。」
寝具に倒れ込み、噛みつくようなキスの雨を降らせる理央。
Aの白く透き通った肌に、牡丹のように赤いシルシが咲かされていく。
互いを強く求め合うその姿に当主としての威厳など無く、そこにあるのは狂おしいほどの愛と本能だけだった。
──獅子に牡丹。強さを貪る牙と、その影に咲きたる可憐な花。──
.
●《生け贄》狼鬼→←●《すべて掌の上》バスコ・タ・ジョロキア
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 100人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くっきーー(ﾟﾚ゜)(プロフ) - 幽々華さん» お返事が遅くなりまして申し訳ありません！リクエストありがとうございます！第10章にて続編を書きますので、ぜひお待ちいただけたらと思います(^^) (2021年12月17日 0時) (
レス) id: d79e2b38c6 (このIDを非表示/違反報告)
幽々華(プロフ) - 別の機会にでも剣崎君メインの「嘘色の祝福」後日談が見てみたい…… (2021年5月29日 2時) (レス) id: 1e7a7481f9 (このIDを非表示/違反報告)
くっきーー(ﾟﾚ゜)(プロフ) - 里香さん» ご感想ありがとうございます！強がる賢人と包み込む夢主ちゃん、という対比を意識したのでそう言って頂けて嬉しいです(*^^*)オチの芽依ちゃん私も好きです♪笑 またよろしくお願いします！！ (2021年1月10日 22時) (レス) id: 518184db7c (このIDを非表示/違反報告)
くっきーー(ﾟﾚ゜)(プロフ) - あずきさん» お返事遅くなりまして申し訳ありません。明けましておめでとうございます♪不破さんがツン担当してるのも良いですよね！嬉しいコメントありがとうございます。また今年もよろしくお願いします(^^) (2021年1月10日 22時) (レス) id: 518184db7c (このIDを非表示/違反報告)
里香(プロフ) - 賢人くんのお話、ありがとうございました。夢主ちゃんと賢人くんの関係性、最高でした。一番最後の芽依ちゃんも可愛かったです。 (2021年1月10日 21時) (携帯から) (レス) id: a371ba2978 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：くっきーー(ﾟﾚ゜) | 作成日時：2020年12月19日 20時
