★《その涙に愛を》鷲尾 風 ページ24
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「ひっく……ぐす……っ」
夜中にふと目が覚めた。
すると隣で寝ていたはずのAが、膝を抱え声を押し殺して泣いていた。
気付いた風は、その震える背中に声をかける。
「どうしましたか、Aさん。」
「風？ごめ……っ、起こしちゃった……？」
涙声でAは風に申し訳なさそうに謝る。
風は起き上がり、その背中に優しく触れて答えた。
「そんなことは気にしないで下さい。……それより、どうして泣いているのですか？」
「……それは……。」
「私には話せませんか。」
「……ううん、違くて…っ。」
風の問いかけにわずかに沈黙するA。
自分では話しづらいのかと心配する風に、Aは小さく首を振り、ぽつりと話し始めた。
「……風と手を繋いで歩いてて、私がいつもみたいに転んじゃって。でも風は私が見えていないみたいで、そのまま風に置いてかれて。ﾋｯｸ…
私、子どものとき親に捨てられたから、また好きな人に捨てられるのかなって…っ…。気付いたら、泣いてたの。」
「……辛い夢でしたね。でも安心してください。私は貴女を置いていったりしませんよ。」
嗚咽交じりに夢での出来事を話すAを、風はそっと抱き締めた。
ここにいるよ、という気持ちを身体で示すように。
震える背中を撫でながら、風は耳元で笑ってみせる。
「それに私は貴女の少々鈍臭いところも好きですよ、可愛いので。」
「……それ褒めてる……？」
「だからどうか泣き止んでください。」
「……ちょ、何してるの。」
風は何度もAの頬にキスを落とす。
ぽろぽろと零れるAの涙に吸い付くように。
「良かった、泣き止みましたね。」
「……うん、もう大丈夫。」
泣き腫らした目を細めて頷くAに、風は安心したように頭を撫でた。
「では、もう一度寝ましょう。」
「ありがとう。」
おいで、と腕を広げた風の中に、Aは飛び込んだ。
自分に抱き付くAの額に口づけ、風は心の中で呟いた。
──おやすみ、今度は良い夢を。──
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★《巡り逢う因縁》門矢 士 & 海東 大樹→←★《英雄のシナリオ》東條 悟
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三日月サトミ(プロフ) - 克己ちゃんとの出会いの話のおまけがとても呼んでて楽しいですw京水さんが京水さんすぎて最高です！ (8月15日 8時) (
レス) @page36 id: 30bd0e0ce7 (このIDを非表示/違反報告)
くっきーー(ﾟﾚ゜)(プロフ) - あずきさん» 嬉しいお言葉をありがとうございますm(_ _)m これからも自分のペースで頑張りますので、また次の作品でもよろしくお願いします(^^) (2020年9月9日 23時) (レス) id: 518184db7c (このIDを非表示/違反報告)
くっきーー(ﾟﾚ゜)(プロフ) - あずきさん» 感想ありがとうございます！私も迅大好きなので、書いてて楽しかったです(^^) 復活前は子どもっぽくて可愛いのに、復活後はスマートで大人っぽいなんてズルいキャラですよね笑 迅のかっこよさが上手く出せたか分かりませんが夢主の熱い片想い感が伝わったら嬉しいです！ (2020年9月9日 23時) (レス) id: 518184db7c (このIDを非表示/違反報告)
あずき(プロフ) - 第8章まで続けていらっしゃること、本当に尊敬しています！無理のない範囲でこれからも頑張ってください！！次回作も楽しみにしております(^^)くっきーーさんもお体にお気を付けください！ (2020年9月6日 19時) (レス) id: 6fd94f281a (このIDを非表示/違反報告)
あずき(プロフ) - 迅のお話ありがとうございました!!ﾋﾟｭｱｯﾋﾟｭｱなお話にｷｭﾝｷｭﾝしました!!書いたの自分かな？と思うほど迅の好きポイントが詰まってて尊かったです(失礼でごめんなさい)ゼロワン世界の住民だったら絶対こんな感じで迅に恋しちゃいます(泣) (2020年9月6日 19時) (レス) id: 6fd94f281a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くっきーー(ﾟﾚ゜) | 作成日時：2020年7月18日 0時
