●《窓の外には》九条 貴利矢 ページ9
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「あれ、貴利矢っ?」
「おう、Aか。今上がり?」
Aは病院の関係者専用の扉から出た先に、貴利矢が帰り支度をしているのを見て声をかけた。
一方の貴利矢も、バイクに跨がる一歩手前のところでAと遭遇し、少し嬉しそうだ。
「うん!貴利矢も?」
「そう。家まで送ろうか?」
「え、いいの?なんかごめん。」
「ばーか、何水臭いこと言ってんだよ。
ほら、乗んなっ」
そう言うとバイクのヘルメットをポンと投げてくる貴利矢。
難なくキャッチするAは、バッグをバイクのボックスに仕舞いながら笑った。
「もうっ、扱いが雑!(笑)」
「わりぃわりぃ(笑)」
幼馴染だからこその距離感とやり取り。
ユルくて、ちょっと雑で、分かり合ってる。
「他の子には雑なことしてないでしょうね?」
「……するわけねーだろ。
やっぱAはバカだな」
Aの言葉に一瞬ピクリと眉を寄せた貴利矢だが、すぐにいつもの軽薄な雰囲気に戻った。
「はぁ?これでも一端の医者ですけど!?」
「はいはい(笑)
んじゃ、走るから捕まっとけよ」
そう言うと同時に、病院の駐車場にエンジン音が響いた。
Aは貴利矢の後ろに乗り、その腰に手を回す。
ブォンと白い煙を吐いて動きだすバイク。
夏の蒸し暑い空気を全身に受けながら、二人は夜の道を走っていった。
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「はいよ、到着」
病院から自転車で20分くらいの距離にあるAが住むアパート。
その目の前でブレーキをかけて止まり、後ろのAに声をかける貴利矢。
「……ん、ありがと」
それに対し、何故だか一瞬の間が空いたAの返事。
それを敏感に感じ取る貴利矢は、やはり幼馴染なだけある。
「…何、後ろで寝てた?(笑)」
そう茶化すように笑うと、いつものように反論するAだが、その後少しだけ声を潜めたように話す。
「違うよ!…あのさ貴利矢。」
「んー?」
貴利矢はヘルメットのシールドを上げながら、Aの方を振り返った。
「部屋からね、花火見えるんだけど、寄ってかない?(笑)」
そう笑顔で言ったA。
だけどその瞳はいつもと少し違っていて。
照れ隠しなのか、それとも別の感情なのか…
いずれにせよ貴利矢には少しだけ違和感があった。
「そんな顔されたら帰れねぇっつーの。」
「え?」
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くっきーー(゚レ゜)(プロフ) - サクラさん» 読了ありがとうございます(*^^*)自分でもいいストーリーが書けたと思っていたのでキュンキュンしてもらえて嬉しいです♪(笑)また第3章でもお待ちしてます☆ (2017年9月21日 15時) (レス) id: 81b45456c3 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - ツルギのお話読みました!本当もう期待以上にキュンキュンしました!!ありがとうございます (2017年9月20日 15時) (レス) id: fead634d8e (このIDを非表示/違反報告)
くっきーー(゚レ゜)(プロフ) - 封雲夜音さん» そうですか。ありがとうございます♪ では、第3章にて^^ (2017年9月20日 13時) (レス) id: 81b45456c3 (このIDを非表示/違反報告)
封雲夜音 - いいえ、ただ確認したかっただけです。大我の話、待ってますね。応援してます。 (2017年9月20日 12時) (レス) id: bcd44cf1b6 (このIDを非表示/違反報告)
くっきーー(゚レ゜)(プロフ) - 封雲夜音さん» そうですね。遅くなっているのは申し訳ないのですが、今いただいているリクエストは移行後に書くとお知らせでもお伝えしました。何か不都合がありましたか? (2017年9月19日 21時) (レス) id: 81b45456c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くっきーー(゚レ゜) | 作成日時:2017年8月24日 17時