●《花火のように》 鏡 飛彩 ページ5
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これは私が飛彩とまだ純粋な幼馴染だった頃のお話。
アメリカにいた私達は、灰馬さんの計らいによって近くの夏祭りに来ていた。
それもちゃんと浴衣まで用意してくれた上で。
私は白地に青い縦縞と蝶が描かれた浴衣を着せてもらった。
一方の飛彩は、青地に黒の沙綾形が入った浴衣を着こなす。
私の隣を歩く彼に、すれ違う度に女の子達がちらりと視線を送るのが分かった。
「ねぇ飛彩!みてみてーっ
綿菓子もう1本おまけしてもらったよ!」
「へぇ、良かったな」
「はい、これは飛彩の分ねっ」
「え、Aのじゃないのか?」
「え、私が2つ食べると思ったの?」
「あぁ。食いしん坊だからな」
「なにそれ〜
じゃああーげないっ」
「もともとノーサンキューだ。
甘いものは嫌いだからな。」
「……あっ、UFO!」
「なにっ!?どこn(ムグッ」
「あはは、騙された(笑)」
「…ぅるさい」
「どぉ、美味しいでしょ?」
「…まぁ、悪くない」
他愛ないけど、ありふれてるけど、こんな幸せがずっと続くだろうって思ってた。
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だけどその翌年、飛彩は小姫ちゃんと恋人になった。
それを聞かされた日からずっと、私は『好き』という感情を押し殺してきた。
小姫ちゃんと楽しそうに話す飛彩を見るたび、心が抉られるほど痛かった。
だけどそんな日常もいつかは慣れてしまうもので。
二人が笑い合う風景を見て、何時しか私も一緒に笑えるようになっていた。
これでいいんだ。
きっとこれからもこのままでいいんだ。
そんな昔話を思い出しながらアイスを一口齧る。
部屋の窓を開けると、外の蒸し暑い空気と共にどこからか花火の音が聞こえる。
君がいた夏は遠い夢の中
空に消えてった打ち上げ花火
甘いものが嫌いな飛彩にはもう二度と逢えない。
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くっきーー(゚レ゜)(プロフ) - サクラさん» 読了ありがとうございます(*^^*)自分でもいいストーリーが書けたと思っていたのでキュンキュンしてもらえて嬉しいです♪(笑)また第3章でもお待ちしてます☆ (2017年9月21日 15時) (レス) id: 81b45456c3 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - ツルギのお話読みました!本当もう期待以上にキュンキュンしました!!ありがとうございます (2017年9月20日 15時) (レス) id: fead634d8e (このIDを非表示/違反報告)
くっきーー(゚レ゜)(プロフ) - 封雲夜音さん» そうですか。ありがとうございます♪ では、第3章にて^^ (2017年9月20日 13時) (レス) id: 81b45456c3 (このIDを非表示/違反報告)
封雲夜音 - いいえ、ただ確認したかっただけです。大我の話、待ってますね。応援してます。 (2017年9月20日 12時) (レス) id: bcd44cf1b6 (このIDを非表示/違反報告)
くっきーー(゚レ゜)(プロフ) - 封雲夜音さん» そうですね。遅くなっているのは申し訳ないのですが、今いただいているリクエストは移行後に書くとお知らせでもお伝えしました。何か不都合がありましたか? (2017年9月19日 21時) (レス) id: 81b45456c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くっきーー(゚レ゜) | 作成日時:2017年8月24日 17時