●《近すぎて》宝生 永夢 ページ3
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その日僕達は地元で一番大きな花火大会に来ていた。
海岸沿いに連なる様々な屋台。
海上花火のため、砂浜や近くの高台から見るのが定番だ。
「うわ〜、やっぱりすごい人だね」
「ほんと!めっちゃ多いね!」
周りを見回すと、 “カップル” や “家族連れ” などがほとんどを占めていた。
“ 幼馴染 ”
随分と長い時間、この枠の中に僕らはいる。
周りの人には、僕らの関係はどんな風に見えるのだろうか?
僕にはきっと、“ 幼馴染 ” を抜け出す勇気が無いから。
せめて見かけだけでも、どうか勘違いされたい。
「A、はぐれないようにね」
「…いいの?」
僕が差し出した手を、遠慮がちに握るA。
淡い水色の生地に散りばめられたカラフルな花模様の浴衣から、すらりと伸ばされた手。
初めて繋いだ手のひらに込み上げる愛しさが逃げてしまわないように。
どちらからともなくギュッと手を握ったまま花火を見上げていた。
「綺麗だね…」
途切れること無く打ち上げられ続ける花火を見ながら、そう一言呟くA。
その時少しだけ涼しい夜風が、海岸を吹き抜けた。
波の音と共にAの前髪がふわりと揺れる。
銀色の光が夜空を埋め尽くし、真昼のように輝くその壮大さに誰もが圧倒されている。
そんなAの横顔に、瞳に、鮮やかに映る花火は消えずに燃えていて。
僕は空の打ち上げ花火よりも、それを夢中で見入るAのことを見ていた。
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くっきーー(゚レ゜)(プロフ) - サクラさん» 読了ありがとうございます(*^^*)自分でもいいストーリーが書けたと思っていたのでキュンキュンしてもらえて嬉しいです♪(笑)また第3章でもお待ちしてます☆ (2017年9月21日 15時) (レス) id: 81b45456c3 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - ツルギのお話読みました!本当もう期待以上にキュンキュンしました!!ありがとうございます (2017年9月20日 15時) (レス) id: fead634d8e (このIDを非表示/違反報告)
くっきーー(゚レ゜)(プロフ) - 封雲夜音さん» そうですか。ありがとうございます♪ では、第3章にて^^ (2017年9月20日 13時) (レス) id: 81b45456c3 (このIDを非表示/違反報告)
封雲夜音 - いいえ、ただ確認したかっただけです。大我の話、待ってますね。応援してます。 (2017年9月20日 12時) (レス) id: bcd44cf1b6 (このIDを非表示/違反報告)
くっきーー(゚レ゜)(プロフ) - 封雲夜音さん» そうですね。遅くなっているのは申し訳ないのですが、今いただいているリクエストは移行後に書くとお知らせでもお伝えしました。何か不都合がありましたか? (2017年9月19日 21時) (レス) id: 81b45456c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くっきーー(゚レ゜) | 作成日時:2017年8月24日 17時