★《ひとひらの涙》檀 黎斗 ページ17
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「Aさん?」
遠くに聞こえるお囃子の音の中に、大好きな人の声が聞こえた。
名前を呼ばれて振り返るとそこには、濃紺地に細い銀糸の縦縞が入った浴衣を纏う黎斗がいた。
「黎斗さん!こんばんは」
一方のAも、白地に黒縞と赤い椿の花が映える浴衣を着ていた。
「こんばんは。
浴衣、とても綺麗だね。似合ってるよ」
「あ、ありがとうございます///
黎斗さんもお似合いですよ!
…ほんとかっこいいです。」
さらりとAを褒める黎斗と、舞い上がって真っ赤になるA。
Aの最後の言葉が彼に届いたかどうかは分からないが、満足そうに笑った黎斗。
袖が触れ合う程ぴったりと横に並んで、縁日の夕暮れを歩く二人。
夏の夜風を感じながら、まったりと流れていく時間。
そこに突然響いた、“ 彼女 ” の声。
「あれっ、黎斗?…とAちゃん?」
振り向くとそこには、白を基調にピンクと黄色の柄が華やかな浴衣を纏ったポッピーと、
赤地に青い花と星が可愛い浴衣を着たニコがいた。
「わ、ポッピーちゃんとニコちゃん!
二人ともどうしてここに?」
「あたしは大我と来てて、ポッピーは永夢と来てたの。
それでたまたま会って、二人でぶらぶらしてたってワケ。」
「そうなんだ〜!その二人は?」
「あー、アイツらは場所取り(笑)」
「なるほどね(笑)」
ニコとAが談笑する傍らで、ポッピーと黎斗も楽しそうに話していた。
「ねぇねぇ黎斗!」
「ん?」
「浴衣ありがとう♪すっごく可愛いね!」
「なんてことはない。
何故なら私は神の才能の持ち主だからな…。」
「えへへ〜、さすが黎斗♪」
ポッピーに褒められ、心底嬉しそうに笑う黎斗を見て、ズキリと胸が痛んだA。
「じゃあアタシらかき氷買わなきゃだから!
バイバイっ」
「バイバーイ♪」
「二人ともまたね〜」
二人の横を通り抜けて屋台の方へと歩いていくポッピーとニコ。
その後ろ姿を愛しそうに見つめる黎斗の視線に、またも胸が痛くなるA。
「後ろ姿まで可愛いとは、やはり私の才能は素晴らしいな…!」
そう言って歩き出した黎斗だが、Aはその場を動けずにいた。
「ん?Aさ「だったらポッピーちゃんと来れば良かったじゃないですか」
立ち止まったAから発せられた、突き放すような言葉。
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くっきーー(゚レ゜)(プロフ) - サクラさん» 読了ありがとうございます(*^^*)自分でもいいストーリーが書けたと思っていたのでキュンキュンしてもらえて嬉しいです♪(笑)また第3章でもお待ちしてます☆ (2017年9月21日 15時) (レス) id: 81b45456c3 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - ツルギのお話読みました!本当もう期待以上にキュンキュンしました!!ありがとうございます (2017年9月20日 15時) (レス) id: fead634d8e (このIDを非表示/違反報告)
くっきーー(゚レ゜)(プロフ) - 封雲夜音さん» そうですか。ありがとうございます♪ では、第3章にて^^ (2017年9月20日 13時) (レス) id: 81b45456c3 (このIDを非表示/違反報告)
封雲夜音 - いいえ、ただ確認したかっただけです。大我の話、待ってますね。応援してます。 (2017年9月20日 12時) (レス) id: bcd44cf1b6 (このIDを非表示/違反報告)
くっきーー(゚レ゜)(プロフ) - 封雲夜音さん» そうですね。遅くなっているのは申し訳ないのですが、今いただいているリクエストは移行後に書くとお知らせでもお伝えしました。何か不都合がありましたか? (2017年9月19日 21時) (レス) id: 81b45456c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くっきーー(゚レ゜) | 作成日時:2017年8月24日 17時