君に手が届くまで Lily_02 ページ13
それから劇場で会うようになって
『あっAさんおる』
「ん、リリーくんおはよう」
『おはっす』
「....何してんの」
『えっ？モリシをびっくりさせようと思ってて』
「こんなの引っかかんのかなー...」
『シーっ...来ますよ』
『うおぉ！！』
「うわぁ！！！...ってなんやねん！！」
『大成功〜！』
「...ふふふ」
「Aさんも一緒やったんすか？！」
「...いいもの見れたわ、ありがとうリリーくん」
『姉さん、飲みに行きたいです』
「ん？いいけど誰か誘おうか？」
『いや、俺Aさんと飲みたいんで』
「マンツーマン？」
『はい』
「...私お酒強いよ」
『望むところっす』
リリーくんは私に構いに来るようになった。
私はそれが別に嫌じゃなかったし普通に受け入れていた。
でも見取り図がだんだん人気になっていってからはそれが当たり前じゃなくなっていった。
彼らの周りにはかわいい後輩に囲まれて、テレビではタレントさんたちとの共演が増えて
もういつのまにか手の届かないところにいて
私がリリーくんに対して抱いていた恋心なんて叶うわけがないものになっていた。
「二人に会ったら言っといて」
「なんて？」
「私はもう帰ったって」
荷物を持って文句を言ってる相方を残して劇場の裏口に向かう廊下を歩いていたら
一番聞きたくない声が聞こえた気がした。
『あっAさん！』
名前を呼ばれた気がしたけど私は音楽を聴いていて気づかないふりをして急いですり抜けようとした。
だけど力強く腕を掴まれているから前に進めない。
諦めてイヤホンを外して顔を上げると
『Aさん、帰るんですか』
仕事終わりに急いで劇場に来たのか少し息が上がってるリリーくんが私の腕を掴んでいた。
「う、うん」
『何か予定でもあるんですか』
「いや、えっと」
『ほんなら一緒に飲みましょうよ、久しぶりに会えたんやし』
人の気持ちも知らないで、なんて言えたら楽なんだろうけど。
何も言えずにいる私をそのまま元の道に連れて行こうと引っ張るリリーくん。
「ちょっ...私帰るんやって！」
『ダメです、返しません』
ただでさえ触れられているその手にドキドキしているのに...。
「もうわかったから...！一旦これ離して」
『えっ...あぁすいません』
離れるのが名残惜しいけどこのままいろんな芸人がいる楽屋に入られたらたまったもんじゃない。
リリーくんはゆっくり私の腕から離れてくれた。
君に手が届くまで Lily_03→←君に手が届くまで Lily_01
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 342人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひより(プロフ) - コメント失礼します！主様のお話が大好きでいつも楽しく何度も読み返しております。もしよろしければvol.5のパスワードを教えていただきたいです🙇♀️よろしくお願いします！ (1月6日 16時) (
レス) id: 2c20052123 (このIDを非表示/違反報告)
かき(プロフ) - コメント失礼します。リクエストでマユリカ阪本さんお願い致します！ (2023年3月21日 20時) (レス) id: bedcd72498 (このIDを非表示/違反報告)
まるまる(プロフ) - ロッテグラスさん» リクエストいただきありがとうございました...！個人的に話の続きを書いてみたくなったのでまたどこかのタイミングで書かせていただきます！ (2023年3月16日 23時) (レス) id: 22a67af544 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ。。 - もと、�爐砲鵑犬鶚瓩任后�💦 (2023年3月8日 22時) (レス) id: accb57b751 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ。。 - まるまるさん» 最高でした✨あの、、立て続けに申し訳ないのですが、リクエストでなにわスワンキーズの前田さんでお話かけますか？お願いします🥺🙇♀️ (2023年3月8日 22時) (レス) id: accb57b751 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まるまる | 作成日時：2022年9月4日 2時
