Assortment of sweets (ページ44)

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遠距離と心の距離 Y.Kawai_01 ページ44

『遠距離でもお互いに努力すればええやろ』

「無理だよ、私はゆずるくんみたいにできへんもん」

『Aは俺のためにそこまでできへんのやな』

「そこまでは言ってへんやん！」

『もうええ、別れよう』

『Aは俺の決めることに喜んでくれると思ってたわ』

遡ること数ヶ月前。

お付き合いしているゆずるくんが東京進出することが決まった。

私は生まれた時から大阪で今まで旅行以外で出たことはない。

今の職場も大阪だし転勤もないからほぼ大阪にいることになる。

でもゆずるくんが東京に行くということは大阪と東京で遠距離恋愛になる。

ゆずるくんが芸人として売れていっているのを近くでみていてとても嬉しかった。

だけど正直別に活躍の場が大阪であってもいいんじゃないかと思っていた。

そんな気持ちを彼にぶつけたらケンカになり彼から別れを告げられた。

当たり前だ。

自分は東京に行ってしまったらもっと可愛い女性や誘惑に負けてゆずるくんを取られてしまうんじゃないか。

そんな風に勝手に思って自分のわがままをぶつけてしまった。

ゆずるくんにはきっとこんなわがままな女は似合わない。

ゆずるくんへの思いは少しずつ消していこう。

そう頬から出る雫を見ないふりして明日の仕事のために眠りについた。

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ある仕事の昼休みにスマホがブーブーなって久しぶりに見る名前に驚いてメッセージを開いた。

稲田さんAちゃん、こんにちは。今日の仕事終わり時間ある?

A大丈夫です!

確かそんなに仕事が溜まってないから今日は早めに上がれるはずだ。

A今日早めに上がれるんで仕事終わりでも大丈夫ですか?

稲田さん全然大丈夫!ごめんなー。

その後、お店と待ち合わせ時間を決めてスマホを伏せる。

稲田さんから連絡が来るなんて珍しいな...。お弁当を食べながらそんなことをぼーっと考えていた。

何かあったんだろうか。

少し不安はあったけど急いで仕事を終わらすために早めに巻いてオフィスに戻った。

夜に待ち合わせたお店に着いて個室の扉を開けると先に稲田さんが来ていた。

「ごめんなー急に連絡して」

「いえ全然！どうかしたんですか？」

そう聞くと稲田さんはかしこまった様子で話し始めた。

「ゆずるさんとなんかあった？」