Assortment of sweets (ページ22)

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タバコ R.Hamaie_02 ページ22

同じタバコを吸い始めたからって特別に仲良くなるだけではなく
勇気がない俺はAさんが喫煙室に向かう時にこっそり後からついて行ってタイミングを合わせたり
挨拶をしに行く時だけ少し話せる程度で何も進展はなかった__。

そんな時劇場公演の打ち上げでいろんな芸人が集まる飲み会があった。
俺は正直めんどくさかったがAさんが珍しく参加するらしいと聞いてすぐに行くことを決めた。
山内にはそろそろちゃんとアピールせなあかんで、と小突かれた。

そんなんわかってる__。
Aさんは他の先輩芸人から後輩まで結構な人からモテる。
自覚はなさそうだがいつ誰に取られるかわからない。

不安と緊張からかお酒を飲む前からすでに気持ちが悪かった。

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「「かんぱーい」」

飲み会が始まって俺は同じテーブルの先輩の相手をしつつAさんをなんとなく目線で探す。

いた__。

俺からちょっと離れたテーブルの端で話の輪には入らずに独りビールを飲んでいる。

『ちょっとお手洗い行って来ますー』

すでに酔っぱらい化している同じテーブルの先輩を適当にいなしつつ席を立つ。
そしてトイレに行くフリをしてAさんの横に座る。

『Aさんがこんなとこおるの珍しいですね、笑』

急に誰か座ったことにびっくりしたのか一瞬ビクッとAさんの肩が動く。

「...なんや濱家か、びっくりしたわ」

『こんな飲み会苦手そうやのにどうしたんですか？』

「桃にな流石に顔出さなすぎるのは良くないからたまには出ろって言われたんよ、笑」

ちょっと罰が悪そうな顔で笑うAさん。
そして照れ隠しなのかビールをクイッと飲むその横顔が美しくてつい見とれてしまう。

「でもまあ、濱家がおるんならええわ」

え。
俺がおるならいいのか__。

本人的に特別な意味で言っているわけではないことはわかっている。
それでも俺に向けられたその言葉に鼓動が早くなるのがわかる。

「あっ、Aちゃん～～！」

そこにベロベロに酔っ払っている桃さんが突撃してきた。

「うわあっ、なんやねん」

「ねえ何話してるの？」

「別にー」

「もうせっかく来たんやからいっぱい飲まないとー」

「はいはい、お前は控えようなー」

二人の漫才みたいなやり取りに俺はケラケラ笑ってしまう。

「あっ、濱家くんじゃん！」

「なになに～ついにAにも慕ってくれる後輩ができたの！？」

そう言う桃さんの言葉にAさんは固まる。