Assortment of sweets (ページ21)

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タバコ R.Hamaie_01 ページ21

『お疲れ様です』

「おーお疲れ」

楽屋に挨拶に行くとソファーに深く腰掛けて一瞬こっちを見て答えてくれたと思ったら
再びスマホを見つめ直すA先輩。

女性だけど服装もいつも黒のパンツに白Tシャツに黒ジャケットが多いAさん。
相方さんの桃さんは女の子らしい服装が好きでフリフリのスカートとか履いたりパステルカラーの洋服を
着てることが多いからファンからは令和の下妻物語みたいなコンビなんて言われている。

ファンの方々も男性ファンが多い桃さんに比べて同性のファンの方が多いAさん。
俺も最初はAさんの身なりやオーラが怖くてビクビクしながら挨拶しに行っていたけど

「そんなビクビクせんでも怒らんよ、笑」

「私こんなんやからさ、あんま後輩から挨拶しに来てくれる人少ないんよ」

「濱家はええやつやなー」

そう言って笑うAさんの笑顔に俺はときめいてしまった__。

『げほげほ...つっよ...』

それからちょっとでも話したくてAさんと同じ銘柄のタバコを吸い始めた。
タバコは吸ってはいたがちょっとでも先輩に近づきたくて、気にしてほしくてミリ数を上げた。

Aさんが吸っているのはめちゃくちゃ強めのメンソールで
弱いのを吸っていた自分からしたらびっくりするぐらいまずくて強かった。

そんな時、喫煙室に来たのは

「おー濱家ー」

タバコをくわえながら入って来たAさん。

「何、お前いつからそんな強いの吸い始めたん？笑」

そんなん吸ったら体悪くするでー、なんて言いながらタバコに火をつけている。

『いや、Aさんも同じの吸ってるやないですか、』

あえて「同じ」というフレーズを意識して言ってみる。

「ん？ほんまやな、笑」

そう言って自分のタバコと俺のタバコを交互に見る。
その姿を見て俺が思っているよりまだまだ意識してもらえてないんやなと落ち込む。

「そんなとこ真似することないで、お前は」

そう言ってふうーっと煙を吐き出してから俺をちらっと見る。

いいなーお前は。
俺が知らない時からAさんに愛されてて。
俺だってAさんにせめて意識だけでもしてもらいたい。

そんなことを考えながらぼーっとしていると
Aさんは俺が自分が吸っているタバコを見つめていると思ったようで

「どうしたん？なんかついてるん？」

『あっ、いやなんでもないっす』

そう言って俺は焦って喫煙室を出た。