Assortment of sweets (ページ1)

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スーツのあの人 K.Kawanishi_01 ページ1

A！この機材に搬入頼んだー！

「はい！今すぐやります！」

劇場で働くようになって丸1年
やっと仕事もわかるようになってきたけどまだまだ慣れない。
でもそんなことを言っている暇もないくらい仕事に追われる毎日。

そんな自分の唯一の癒しといえば

『あ、Aちゃん。今日も忙しそうやな～、笑』

「お疲れ様です。川西さん...！」

漫才衣装のスーツが本当によく似合う川西さん。
私が劇場に入ったばかりの時からよく声をかけてくれる。

理由はわからないけどそんな気まぐれでも
名前を呼んでもらえるだけで声をかけてもらえるだけで

私の心臓は大きく跳ねる__。

「今日も10分ぴったりでしたね！流石です...！」

『いやいや、まぐれよまぐれ。まだまだ時間内に収めるんむずいわ～』

和牛さんの漫才は袖から何度も見させてもらっているがいつ見ても面白い。
その上こちらからお願いしている尺内にほぼ完璧に収めてくる。

そんな仕事人な姿に
楽屋で新ネタを覚えている真剣な眼差しに
鏡に向かってネクタイを締めている指先に

私は尊敬だけでは片付けられない気持ちを抱いてしまった。

でも、この気持ちは胸に押し込むんだ。
そんな風に決めていつも通りの笑顔で話すことにしている。
この気持ちがバレてしまわないように__。

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ノック音)))

「和牛さん、そろそろ袖へ準備お願いしま...」

そんな言葉を伝えようと扉を開けたときに聞こえてしまったセリフ。

『川西からちゃんと言わんと伝わらへんで、好きな気持ちは』