そして、彼は考えるのをやめました。37

Episode1782 ページ10

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この飴の入ってる瓶。…何だったっけ。
『鉄ノハインリヒ飴』…。
あ、確かペコポン人になれるやつだっけ。



「嬉しいなぁ！ペコポンの遊園地憧れてたんや！」



「へー」



遊園地行ったことあったっけ。
何気に初めて行くかもしれない。
皆と行ったのって温泉旅行ぐらいだし。



「？なんや、これ」



「…ペコポン人になれるの」



「マジ！？」



「マジ。確か…効果は1日だけ。
だから、効果に心配することは…」



ボクが説明しているとカララちゃんは既に
瓶の蓋を開けて飴を舐めていた。
…別に説明を後で聞かれても答えられるし。

ボクが忘れていなければの話だけど。

すると、カララちゃんの身体は光り始め、
身長こそは小さいけど可愛い女の子になっていた。
藍色のワンピースとかもよく似合ってる。



「ギララはん！どうや？うち、可愛い？」



「うん、可愛い」



ケロン人とかでも思ってたけど、
顔は可愛いからペコポン人になっても可愛い。
ボクも飴を舐めてペコポン人になる。

…うん。やっぱりジャージは落ち着く。



「わぁ…！ギララはん、ごっつイケメンやん！」



「…イケメン…？」



目を輝かせるカララちゃんにボクは首を傾げる。

すると何故か、ボクの頭にクルルが過ぎった。


_______




「こんなんただのロリコンおじさんだぜェ。ク〜ックックック」



_______



─バキッ




「ギララはんすっごいなぁ！木にヒビ入っとるで！」



「…………」



支えていた木を見ると少しヒビが入っていて、
ボクは静かに手を離した。
…クルルが頭に過ぎっただけでこんな事になるとは。

顔には出てないけど、気持ちの問題かな。



「それにしてもギララはん。
めっちゃかっこええけど、なんか服がなぁ…」



「……服、ね」



どうでもいい。
着れればなんでも良いから良いと思うけど、
カララちゃんはあまりお気に召して無い様子。

ジャージ動きやすいけど。



「なんなら、うちが選んであげるで！」



「…………」



財布を確認すれば結構な大金がある。

…最近は特に欲しいものなんて無かったし、
選んでくれたものを着ればお気に召すだろう。



「行こっか」



「っ！ホンマ！？」



「…？カララちゃんから言ったんでしょ。
ボクに合う服、選んでよ」



「お易い御用やで！」



取り敢えず、この宇宙船とかボロボロになった木を隠さなくては。
話はまずそこからなのかも知れない。

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