そして、彼は考えるのをやめました。37

Episode1821 ページ48

✿


暗転。

ステージ上では幽霊が謎の舞をしており、
ケロン人の幽霊が突っ立って、端にクルルが小鼓を構えていた。



─ポンッ


クルルが小鼓を叩く。

舞を終えた幽霊はその場に座り込んで
泣き真似をした後、ケロン人の幽霊に手を差し伸べた。



「さあ、私と共にあの世へ戻りましょう！」



「ドクドクドク…」



「あのぉ…これは一体…」



一体何をしているのかさっぱり分からず
観客席で見ていたケロロ達は不思議そうに見ており
遂にケロロが何をしているのか尋ねた。



「幽霊仲間では評判なんですよ！私の踊り！
癒されてあっという間に成仏出来るって！」



「は、はぁ…」



「馬鹿者！折角成仏するところなのに邪魔するな！」



「ゲロ…」



「ドクドクドク…」



幽霊が嫌いなギロロは成仏する所をケロロに邪魔され
鬼の形相で怒っていると、突然ケロン人の幽霊が唸り出した。



「ドクドクドクドクドクドク…」



「うわぁっ！あの…！落ち着いて！」



ケロン人の幽霊はまるで煙のように身体を薄め
観客席にいるケロロ達に襲いかかった。



「おわ！？ご、ごめんでありま！」



煙に囲まれたケロロは苦しそうにもがいた後
煙が去った頃にはケロロは気を失っていた。



「うぐおぉっ！！」



ギロロも煙を吸ってその場で気絶する。



「来ないでぇ！」



「てゆーか、悪霊退散！？」



「早く。逃げないと気絶する」



夏美、モア、冬樹、ギララの4人は急いで観客席から立ち上がって
煙に巻き込まれないようにその場から逃げ去る。



「ひいええ！あっちいけですぅ！いってくれですぅ！




あっちいけって言ってんだろうがぁ！」



今度はタママに襲いかかり、慌てて手で追い払うが
何度言っても別のところに行ってくれないので
怒ったタママはタママインパクトを放つ。

しかし、幽霊は彼の攻撃など効かず、
気絶していたケロロに攻撃がかすった。



「うわぁ！流石幽霊だ！」



「あの身体さえあれば敵の攻撃も効かない…」



「って喜んでる場合！？
アンタも！感心してる場合じゃないでしょ！」



幽霊に巡り会えて喜びを隠しきれず、
写真を撮りまくる冬樹と観客席の背もたれに座って
顎に手を添えて感心すると、夏美からツッコミをされた。



「ドクドクドクドク！」



ケロン人の幽霊が襲い掛かると夏美が足で
劇場のドアを蹴り破ってその場から逃げ、
後に続くように全員逃げる。



「すごい！すごいよ！あははっ！」



だが例外もいる。

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