そして、彼は考えるのをやめました。11

Episode531 ページ42

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「ほ、捕虜に死なれると色々うるさいからな…。早く夏美に…」



素直になれないギロロであるが、箱を冬樹に渡して
夏美に早く食べさせようとする。



「ギロロ…」



「…夏美ちゃん、一応まだ起き上がらないでね」



「…うん」



ギロロの方を向いて彼の名前を寂しそうに呼ぶ夏美に、
彼女が起き上がる気配はないが
一応起き上がらないように伝えるギララ。

それを聞いて夏美は頷いて返事をした。

すると、先程まで寝ていたケロロが体を起こす。



「おぉ〜、ギロロ。何持ってんのー？」



「宇宙ケルベロスの肝だ」



「ん？……うわっ、ほんとだすっげ…


いただきまーす」



ケロロは箱を開けて鮮やかなピンク色のケルベロスの肝を見て
感心しながら寝ぼけているのか、肝を口の中に放り込む。



「「「っ！？」」」



「……隊長」



それを見た三人は驚きと衝撃で声が出ず
ギララは何処か呆れたような声色でケロロを呼ぶ。

ギロロの努力が全て水の泡となってしまった。



「うおぉぉっ！肩こり！腰痛！
慢性疲労がみるみる消えていくぅ！


オラ！スーパーパワーアップしたぞっ！！


いやー、素晴らしい朝食をありがとう！」



「ぁ……はぁ…っ」



何処かのサイヤ人のような台詞を吐いて
体も心も艶々になったケロロは明るい顔で
ギロロに言うが、ギロロはあまりの出来事に
言葉を失って腰を抜かしていた。



「それは伍長が姉ちゃんの為に取ってきた薬なんだよ！？」



「隊長…」



「ゲロォ！？なんですとぉ！？！？」



冬樹がケロロに怒鳴り付けながら言い
あのギララでさえもケロロに眉を顰めて言う。
それ程、彼は大変なことをしてしまったのだ。



「馬鹿だ…俺って本当に馬鹿だ…」


自分のやってしまった過ちを後悔するケロロだが
時は既に遅かった。

へたり込んで自己嫌悪を背中に乗っけて
ケロロは絶望をして自己嫌悪の重みに倒れてしまった。



「うっ…」



「夏美ィ！」



「姉ちゃん！！」



全ての光景を見ていた夏美は熱のせいでケロロに
文句言う気力が湧かず、早い呼吸をしていると
いきなり唸り始めて、それに気付いた一同は慌てて夏美を見た。

＿＿＿＿




「大あんまきは…アイチ拳！！！」



再度、機械に殴りかかるタママ。
すると、機械はこれまでとは違って
電流が走って大袈裟に揺れていた。

すると、機械は落ち着きを取り戻して
煙が出てきていた。



「……あれ？」



それを見たタママは違和感を覚えて首を傾げた。

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