そして、彼は考えるのをやめました。8

Episode390 ページ48

✿



「そうでありますな！」



「早速準備するですぅ！」



タママに言われてお雑煮の準備に取り掛かるケロロ。

その光景を見ていたモアは悲しそうな顔をして、
両手を力強く握った。



「(今は…心の奥に閉まっておきます…)」



［切ないモアちゃんでありました］



「(てゆーか、一時凍結？)」



結局、モアの新年の抱負は言えないまま、
皆で抱負を言い合うのは幕を閉じてしまった。

＿＿＿＿



そして、お雑煮の準備が出来て、茶碗に入れられると、
紫色の液体が泡を立てており、
茶碗の周りには禍々しいオーラを放っていた。



「な、なんじゃこりゃ…。お前が作ったのか？」



「いかにも。
全国のありとあらゆるお雑煮を研究し、
我輩がアレンジを加えた究極のお雑煮であります！」



これはお雑煮ではない液体だろう。

タママが目を細めながら匂いを嗅ぐと
「変な匂いがするですぅ…」と言っている。

何が入っているのかは聞かないほうが良さそうだ。



「クック〜。食材同士で化学反応を起こしてるな」



「…かがくのちからってすごい…」



「てゆーか、有害物質？」



クルルも流石にお雑煮のヤバさが分かり
笑ってはいるが完全に冷や汗をかいており
ギララは何処かで聞いたことのあるような言葉を発し、
モアに至っては悪気はないだろうが辛辣である。

だが、有害物質というのは間違ってはいない。



「さあさあ遠慮せずにー！さあ！」



ケロロが笑顔で五人にお雑煮に食べ勧めているが
誰一人お雑煮を食べようとしなかった。

このような物を食べる人こそが勇者である。

そんな空気になっていると…。



「私食べます！」



「っ！？」



「何！？」



「食べます！…えいっ！」



モアが茶碗と箸を持って、青ざめた表情で
お雑煮をかき込んで食べていく。

そんなモアの姿に一同は呆然と見ている。



［説明すればなるまい。

モアの体内に入ったケロロ特性お雑煮には
更に怪しげな化学反応を起こした］



モアが茶碗と箸を置いて周りは静かになり
五人はお雑煮を食べたモアを見詰める。

すると、モアの首が激しく横に動いた後
耳から桃色の煙が吹き出して
五人は吹き飛んでしまった。

辺りは桃色の煙に包まれる。



「…モア殿…？」



「…………あっはははははは！！」



［化学反応完了！］



突然大声で笑い出して顔を真っ赤にしている
モアに一同は唖然としている。



「おじさまぁ！とっても美味しいですぅ！
てゆーか、最高傑作ぅ〜？」

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