そして、彼は考えるのをやめました。7

Episode313 ページ20

✿


幼稚園の誕生日会のような飾り付けがされていた。



「な、なにこれ…」



「パーティー会場であります！」



「パーティー会場って…まさか姉ちゃんの！？」



夏美のバースデーパーティー会場だと知って、
驚きを隠せない様子の冬樹。

子供っぽいことが嫌いな夏美のことを
知っているので、尚更驚いているのだろう。



「左様！如何でありますか？
我が隊の総力を結集したこのディスプレイ！」



「「「わわわー」」」



ケロロが自信満々にそう言って、
置かれてあったイチゴ、柿、メロン、ミカンの中からは

クルル以外の部活4名が楽譜を持って、歌を歌っていた。

ギロロはウサギ、ドロロはクマ、タママはネコ、
ギララはキリンと動物のコスプレを着ている。



「……子供っぽ過ぎるよ軍曹…」



「ゲロ…ダメでありますか…？」



「それにこんなに部屋を改造しちゃって…
何て言われるか…」



冬樹からあまり褒めて貰えず、
その上冬樹の言う通り、部屋を勝手に改造して
夏美が何を言うのか。

6人がふと夏美の様子を思い浮かべる。



「ボーケーガーエールー？」



「ケロ…ッ」



すると、いきなり部屋から警報が鳴る。

ひまわりの形をしたモニターが
『ちゅうい』と警告をした後、
ペンギンのコスプレを着たモアが映った。



〈大変です！夏美さんが帰ってきました！〉



「「「ええええっ！？」」」



夏美が家に帰ってきたと知ったギララ、冬樹以外の3人は
夏美に怒られる事を恐れることと、

夏美にサプライズがバレてしまわないようにと
慌てながら部屋を戻していく。



「っ！………」



家に帰ってきてケロロ達の騒ぐ声が聞こえて、
ジト目で夏美は玄関のすぐある部屋を見る。



「何か此処から…ボケガエル達の声がしたような…。

まさかまた何か変なことを
企んでるんじゃないでしょうね…！」



昨日からタママといい、クルルといい、ギララといい、
地球侵略作戦を立てているに違いないと
思った夏美は勢いよく部屋の扉を開ける。

そして同時に驚いた表情をした。



［さて！驚く夏美が目にしたものとは一体…！
果たして…ケロロ軍曹達の計画は上手くいくのか！］





「……あれ？気の所為だったのかしら…？」



夏美が目にしたのは何の変哲のない
ただの和室であった。

それと共にケロロや冬樹達の姿も無かった。
不思議に思いながらも夏美は和室を出ていった。

そして、何も無かった和室は
先程のパーティー会場へと変わってたのだった。

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