そして、彼は考えるのをやめました。6 (ページ31)

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Episode275 ページ31

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「…こいつ兵士として役に立つんですかねぇ…？
試させてもらうですぅ！！！」

相手が高齢だからか少し疑うタママは、
何処から持ってきたのか不明だが、
ゾウに向けて勢いよく刀を振り下ろす。

しかし、ゾウはその刀を指一本で止めたのだった。

「「「！！！」」」

それを見ていたケロロとギロロとドロロは
驚いた様子でその光景を見て、
ギララは真顔で見ていた。

「う、動かない…！？」

「長く生きていれば…このような芸当も出来るようになる」

ピクリとも動かない刀にタママは驚き、
ゾウは冷静に言ったあと、指一本で刀を下ろす。

「……太郎殿…」

そんなゾウの姿をケロロは涙ぐみながら名前を呼んだ。

「初めて…私を見に来てくれた客は…
赤い靴を履いた女の子だった。

次に来た時、その子は自分そっくりの女の子を連れていた。
次に来た時には、すっかり…白髪になっていたよ。

その間色々なことがあった。本当に…色んなことが…」

［そうして、インドゾウの太郎は語り始めたのです。
悲しい話、楽しい話。昭和から平成。
その瞳に映し続けた時代の物語を］

ゾウの話を真剣に聞いていた4人。

タママは涙目になり、ケロロは一粒の涙を、
ギロロとドロロは溢れるくらいの涙を流していた。

しかし、クルルはゾウの話を聞いておらず、
寝転がってゾウの方すら向けていない。

ギララは話は聞いているが、涙を一粒も流さず、
泣きそうな表情もせずにただ無表情で聞いていた。

「…う…っ、良い話だったですぅ…」

「良い話だったよね」

「ゾウの太郎にあのような過去が…」

「これからは我々も1日1日を大切にしなければな」

こうして、ゾウの話を真剣に聞いた4人は、
余韻に浸りながら語っていた。

「で、スカウトには失敗した訳だ」

「…本来の目的…忘れてるね」

「「「「あっ」」」」

クルルとギララの冷静な一言により、
4人は思い出したかのように一斉に呟いたのだった。

＿＿＿＿＿＿＿＿

気を取り直して、次はコアラに向けて銃を撃つ。

「やだよぉ！木から降りたら死ぬってママが言ってたもん！」

泣いて木にしがみつきながら、
ケロロからの勧誘を断るコアラ。

こちらも失敗に終わる。

そして、次はペンギンエリアの方へ向かって、
ケロロはペンギン達に銃を撃つ。

「アタシ達、現状に満足してるしぃ」

「てゆーか、眠いしぃ…」

瞼を擦り付けて言う雌のペンギン。