そして、彼は考えるのをやめました。5 (ページ43)

今日:28 hit、昨日:20 hit、合計:16,750 hit

Episode238 ページ43

✿

笑顔で事の経緯を話すタルルに、
タママは何故か大量の汗を流している。

普通なら自分の弟子が来たのだから
もっと喜ぶべきでは無いのであろうか。

「そんで、宇宙連休を利用して
はるばるやって来たんっす！」

「あの…タマちゃん？
良かったら、私達にも紹介してくれないかなぁ？」

「っ！コイツら知ってるっす！」

タママとタルルと目線を一緒にするために、
しゃがみ込んでタママに聞く桃華。

すると、タママが桃華達の事を話してくれているのか、
タルルは嬉しそうな声で言う。

しかし、タママ本人はというと…
ヤバい、とでも言うような絶望的な表情になっていた。

「変身凶悪獣人(へんしんきょうあくじゅうじん)桃華と…冷酷機械人間(れいこくきかいにんげん)ポールっすよね！

壮絶なバトルの末、ペットとして捕獲した
凶悪な地球(ペコポン)人2人組なんっすよねー！」

「いや…その…えっと…。な、何ていうか…。
あのー…ほらー。アレですよ。

ペットのように可愛いというか…あは…あはあははは」

タルルにそう言われて驚いた顔をする桃華と
ピクリとも反応すらしないポール。

ポールと桃華が動物のようになって、
タママに撫でられているのが映し出される。

タママは白目を剥いて完全に動揺している。

「ウッフフフフフ！

随分おもしれぇ形で伝わってんじゃねぇか。あぁん？」

「そのように見られていたとは…私酷く残念です」

タママに近付いて、髭と髪がタママに当たって、
完全に激怒している桃華とポール。

これはタルルが帰った後が怖いだろう。

「それより師匠！秘密基地って…。
確か日向、って家の地下にあるんっすよねー！」

そう言ったタルルは降りていた宇宙船に乗って、
日向家へと飛んで行ってしまう。

「ま、待ってよタルル！勝手に行くなよー！」

そんタルルにタママは手を伸ばして、
焦ったような声で言った。

＿＿＿＿＿＿＿＿

「………ん？姉ちゃん、今何か音しなかった？」

「テレビの音でしょー」

ソファで寝転がって本を読んでいた冬樹は、
近くで聞こえた爆発音に反応して夏美に聞くが、
夏美はテレビを見て適当に返答する。

すると、庭には丁度日向家に到着したタルル。

どうやら、テレビの演出と同じタイミングで、
日向家に落下したのだろう。

「ここっすねー！」

「おい、タルル。一応、敵の母船なんだから…
あんまり勝手に…「早速突撃っすー！」っておい！」