そして、彼は考えるのをやめました。5 (ページ31)

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Episode226 ページ31

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海賊の衣装に着替えさせられたケロロは
不思議そうに瞬きをする。

弥生は、そんなケロロの背中を力強く押して、
また舞台へと行くことになってしまった。

それも夏美がセリフを言っている時に。

「『おおっ！ピーターパン！きっと来てくれると』
……って何で戻ってきてんのよ！」

「いやー…何でと言われましても…」

戻って来たケロロに怒鳴る夏美に、
ケロロは困ったように返す。

そう。ケロロの意志で戻って来たのでは無いのだ。

「本当に良いのぉ？弥生ぃ…」

「ハプニングとアドリブ…！これこそ舞台の醍醐味よ！」

舞台袖では、心配そうに言う五月だが、
弥生は燃えた表情をして、この状況を楽しんでいた。

「な、夏美殿…。て、手荒な真似は…」

「痛い目見ないと分かんないでしょお？」

「そうとも！覚悟しろ！海賊め！」

「海賊ぅ？……っ！

(そうでありました！今の我輩は…海賊フック船長！
幕が下りるまでは芝居を続けるであります！)」

小雪のアドリブにケロロは一瞬不思議そうに言うが、
自分の役に気付いた顔をする。

この劇を成功させるためなのか不明だが
『役者魂』でケロロは途中退場をしなかった。

「ハーッハッハッハ！何をちょこざいな！
お前たちの方こそサメの餌にしてくれるであります！」

ケロロが剣を振りかざすが、夏美と小雪は
綺麗に高く飛んで交わして着地をする。

そのような様子を観客席から見ていた男子は
「すげぇ…！」と興味津々に見ていた。

「っ！」

「とぅ！」

「おのれぇ！ちょこまかとぉ…！イラァ！」

颯爽と交わしていく夏美と小雪。

弥生が言っていた『身軽さ』とは
こういうことを指しているのだろうか。

「軍曹さん熱演ですぅ…」

「隊長…凄い」

「流石は役者バカでござる」

「いや…ただのバカだろ…」

白熱な演技をしていくケロロに、
呆然と見るタママと褒めるギララ。

そんな中、幼馴染みでもあるドロロとギロロは
ケロロを褒めているのか分からないラインであった。

というより、ギロロに至っては辛辣である。

「それそれそれそれそれ！そいや！」

ケロロが剣を夏美に刺そうとしていくが、
夏美はそれらを全て避け切って、

ケロロ達より高くジャンプして回転をし、
観客からの視線は彼女だけであった。

「ケロ！？」

「ボーケーガーエールー…！」

ケロロが持っていた剣の上には、
ドレスの裾を持ってかなりご立腹の夏美の姿が。