そして、彼は考えるのをやめました。5 (ページ30)

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Episode225 ページ30

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明らかに変わってしまった夏美の演技に、
冬樹は目を点にして見ており、
モアも困ったように言う。

「うわぁ…酷いですぅ…」

「…夏美ちゃん…」

あまりの酷さにタママも呆れたように言い、
ギララは表情は変わりないが心配しているような
声のトーンで夏美の名前を呼ぶ。

ドロロは涙を流し、ギロロは冷や汗をかいて見守っていた。

「なっ、あれ程の…特訓の成果が…一瞬の内に！
オーッホッホッホ！夏美……恐ろしい子！」

ずっと指導していたケロロは、
大量の汗を垂らして、白目を剥いていた。

流石のケロロも唖然とする出来事であった。

「夏美さっ！じゃなくて…ウェンディ！
しっかりするんだ！ウェンディ！ウェンディ！」

「カットカットー！全然ダメ！お話になんない！
チミは今まで何を練習してきたの！？」

「ぼ、ボケガエル！？」

突然出て来たケロロに夏美は驚いた顔で言う。

ペコポン人スーツを着ているケロロであるが、
もう少しまともな服は無いのであろうか。

全身が緑色で少し気持ち悪さを感じられた。

「貸しなさいぃ！

『おぉっ！ピーターパン！
きっと来てくれると思っていたわぁ！

この影を探しに来たのでしょう？
私、ずっと待ち焦がれていたのよぉ！』」

「フッハハハハッ！」

クネクネしながらとても上手い演技をしていくケロロ。
そんなケロロを見てサブローは大爆笑をする。

「『おぉ！ピーターパァン！！』」

サブローに続いて、面白いと思ったのか、
他の生徒も笑い出して、それに気付いた夏美は
驚いた顔をしたあと、悔しそうに握り拳を作る。

「『おぉっ！ピーター』…グエッ！」

「なーに出しゃばって来てんのよぉ！」

乱入して来たケロロに、夏美は回しながら
舞台袖に勢いよく投げ飛ばす。

「ケ〜ロリ〜ン…」

「「誰？」」

ケロロは夏美に飛ばされたことにより、
小道具などに当たって目を回しながら倒れていた。

ケロロの姿を見たことが無かった弥生と五月は、
目を合わせて同じ言葉を発した。

「アッハハハハッ！」

サブローが爆笑して、観客席からは、
とても盛り上がった声が聞こえてくる。

その様子を弥生と五月は確認をする。

「「ウケてる…！」」

「これだわ…！」

弥生が目を光らせる。何か作戦があるのだろう。

「ケロ？」

「誰だか知らないけど、このままアドリブで続けて！」

「グワッ！」