そして、彼は考えるのをやめました。5 (ページ28)

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Episode223 ページ28

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「左様。拙者もケロロくんには
随分と演技の手解きを受けたものでござる」

ドロロの脳内には幼き頃が蘇られた。

＿＿＿＿＿＿＿＿

「ドロロくんは木だから動いちゃダメだよ」

「ううぅ…分かった…」

木の役をやることとなったのか、
幼きドロロはケロロに指示を受けて
片足で木のようになる。

手と足には少しの汗があった。

「あーーーーっ！！！」

「桃は喋っちゃダメだよ」

今度は桃太郎の桃の役にされたドロロは、
川に流されて悲鳴を上げていると、
崖の岩からはケロロがドロロに指示を出す。

しかし、桃に扮したドロロがいる川の先には
大きな滝があった。

「カブは泣いちゃダメだよ！」

夜になって、カブになって埋められて、
涙を流すドロロに、シャベルを持ちながら、
それでも指示を出すケロロ。

＿＿＿＿＿＿＿＿

「そういえば僕…いつだってセリフのない
地味ーな役ばっかりだったよね…」

「何かトラウマスイッチ入っちゃったみたいだね」

トラウマスイッチが入ってしまったドロロは、
廊下の隅で体操座りをして落ち込んだ様子で、
ブツブツと言っていた。

そんなドロロを見て周囲はそっとしてあげることにし、
ギララはドロロの後ろに『カトウのごはん』という

何処かで見たことがあり、聞いたことのある
パッケージデザインと名前の商品を置いたのだった。

＿＿＿＿＿＿＿＿

「すもものアイドル講座ー！
まず最初に可愛いポーズの基本その1！……はい！」

「こ、こう…？」

「違う違う。もっとこう足を高く上げて…
胸を反らして首を捻って！」

「こ、こう…！？」

マッチの次はすももが日向家にやって来て、
二人に可愛いポーズを教えていた。

細かいところまで指導していき、
先程までとポーズを変えた夏美。

そのアイドル講座には、夏美と小雪だけでなく、
何故か指導係のケロロにまでもが参加していた。

［こうして、宇宙アイドルのすももちゃんや、
地球でちょっとだけ女優デビューを果たしたラビーの

献身的な協力を得て、対話の努力の甲斐もあり、
夏美の演技はみるみる上達していった］

「『おおっ！ピーターパン！
きっと来てくれると思っていたわ！』」

先程までの演技とは変わって、
セリフも棒読みでなく、表情もよくなり、
とても良い演技が出来るようになった夏美。

「(まるでウェンディがいるようだわ…
もう我輩が教えることは何もないであります…)」

［まじすか］