そして、彼は考えるのをやめました。5 (ページ27)

今日:19 hit、昨日:20 hit、合計:16,741 hit

Episode222 ページ27

✿

夏美の部屋でいざ劇の練習をしていたが
小雪との差が激しく、棒読みになってしまう夏美。

二人の間では沈黙が。

「とても見られたもんじゃないわね！」

「「……？」」

するとそこには、ケロロが何処かで
見たことのある先生の格好をして
夏美と小雪の目の前に現れる。

「ボケガエル！？」

「一歩舞台に立てば…もう自分ではない…

そう…貴女はウェンディという仮面を被った
別人なのよであります」

「はぁ…？」

一体ケロロが何を言っているのか分からないのか
夏美は素っ頓狂な声を出してケロロを見る。

「小雪殿との舞台を成功させるために
我輩の特訓を受ける気はあるかしらであります！」

「特訓…」

「我輩の厳しい特訓に果たして
着いてこられるかしらであります！」

ケロロの言葉に、夏美は覚悟を決めたような顔をする。

すると、ケロロは「ゲホッ、ゲッ！」と
咳き込んだ上手い演技を行った。

「やりましょう！夏美さん！」

「…よーし！やってやろうじゃない！」

こうして、ケロロの特訓を行うこととなった夏美と小雪。
一体、どのような特訓が待ち構えているのだろうか。

＿＿＿＿＿＿

夏美の部屋では大量のマッチを使って
タワーを作っている最中であった。

「…ねぇ、こんなんで本当に芝居が上手くなるの？」

「集中力が足りーん！！」

「あーっ！何すんのよ！」

マッチを使って集中力を高めるという特訓みたいだ。

ケロロにハリセンで作ったマッチタワーを壊されて
夏美はケロロに向かって怒鳴り付ける。

「演技とは！無心の境地に至ること！
小雪殿を見るであります！」

「……？」

「雑念を払い、ただひたすらにマッチ棒を集中している！
さあ！もう一度！」

「…うん！」

珍しくケロロの言うことに黙って従う夏美。

友達の初演出に掛かっている劇だ。
失敗だけは絶対にしたくないのであろう。

そんな3人のやり取りを、ある6人は見ていた。

「手元が甘い！馬鹿者ォ！」

「凄いですぅ…！鬼の軍曹さんが蘇ったみたいですぅ！」

「…何の特訓？」

「頑張れ姉ちゃん！

この特訓、全然意味がないように見えるけど、
軍曹の言う事を信じるんだ…！」

夏美の部屋のドアの裏では、冬樹、モア、タママ。
ギララ、ドロロ、ギロロの6人がその現場を見守っていた。

ケロロを見て昔を蘇るタママと、夏美を応援する冬樹。

どのような特訓を理解していないのか
ギララは首を傾げて言った。