ノクターン

#38 ページ38

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わたしは、その後無事に念願の看護師になった。





あれから勉強を重ねて、地元の看護大学に入って、国家試験も合格して、とものいた病院で働き始めた。






貴「中田さん、おはようございます」





あの時の看護師さんたちも多く、楽しく毎日をやっている。






中「今日、命日ね」






五年近くたって、だいぶ傷は癒えたものの忘れられるはずはない。





中「それ、智洋くんにもらったのよね」






わたしの耳を指差して言う。




ともはわたしが看護師を目指してるって知っていたから、勤務中でも身につけられるようにピアスを最後の形見としてくれた。



音符の形をした、小さめのピアス。





貴「センス、ありますよね(笑)なんて、もう惚気癖取れないなー(笑)」





笑えるくらいには、大人になったつもりだ。






中「お墓まいり、行った？」






貴「はい、今日日勤だったんで、昨日行きました。中田さんにバシバシやられてますって(笑)」






そう言われなくても、月命日には必ず行くようにしていた。その日が仕事なら前日や、次の日に。





中「もー、やめてよー(笑)」





そう言いながら中田さんもわたしも業務につく。






とものいた病室の前を通るたびに、ノクターンが頭の中で流れた。






今日も病室の前で、小さく、元気？なんて呟いてからナースコールの対応をした。




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