ノクターン

#27【side green】 ページ27

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何カ月かぶりに先生に話があるから、と家族全員が呼ばれた。





先「……大変残念ですが、智洋さんの余命が、この間の検査を見たところ、あと、3カ月程、かと…………」






医者も辛いんやろう、途切れ途切れに言うた。






家族は俺を悲しませへんようにか、嫌に明るく振舞って帰った。






そのあと、Aが来た。言わなきゃ、と思うた。





貴「とも〜〜」





いつも通り、明るい声で病室に入ってきた。A、と名前を呼ぼうとしたとき。





緑「……っ、」





声が、出えへんかった。




何度も、何度も声を出そうと試みるけどいつもどんな風に声を出してたかなんていちいち覚えてへんくて。





貴「……とも？どした？」





Aが異変に気付いた。




声が出えへん、と言いたいのにそれすら伝えられへん。




っあ、！と苛立ちながらも近くにあった紙に、震える手で持ったペンをできる限りはやく滑らせてこえがでない、と書いた。





貴「……え、いつ、から………？」





泣きそうな顔やった。でも我慢してるのがわかった。




俺も、泣きそうやった。





緑｛いま｝





書いたと同時に涙がこぼれた。









もう、Aの名前を呼ぶこともできへん。









もう、Aに好きと伝えることもできへん。









もう、Aに可愛いとも言えへん。









もう、もう、もう、……………と溢れる涙が止まらへんくて。







気づくとAが抱きしめてくれとった。





身体が少し熱いからAも泣いてるんやと思う。




それでも慰めの言葉も出させへんくて、ゆっくりと背中に回した手にただただできる限りの力を込めた。



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