ノクターン

#18 ページ18

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病院に着くと、看護師さんたちが冷やかし半分に出迎えてくれた。




看「おかえり〜、智洋くんどうだった〜？自慢の可愛い彼女とデート♡」





ふふ、とわたしが後ろで笑いながら楽しかったよね〜と言って車椅子のともを覗くと、





緑「…は……ず、か……し…い…………か、ら……き…か……ん、と……い……てっ、」




と顔を真っ赤にして少しむすっとして言った。




その顔がなんだか子供みたいでかわいくてくすっ、と笑うとともはさらに気を悪くしてしまったみたいだった。





お体に変化ないかみますね、と看護師さんの一人がともを連れて病室に行き、わたしはナースステーションの前でぼーっと待った。





中「Aちゃん、今日は大丈夫だった？」





それは、前にともの病室を教えてくれた看護師の中田さん。





貴「あ、はい。水族館とスタバ、楽しんでくれたみたいです。」





よかったわ〜、と中田さんはわたし以上に安心をみせた。




中「智洋くんね、Aちゃんの笑顔が見たいからって水族館に行きたいって言ったのよ。Aが水族館行きたいって言うててん、だから最初は水族館行くねん！って(笑)」




え、と息が少し詰まった。





中「いつもいつもね、ご飯の時間とかに俺の彼女はめっちゃかわええねん、笑顔がな、とくにかわええねん、自慢の彼女やねん、俺が絶対幸せにしてやらなあかんねんって口癖のように言ってるの。だからさっき照れたのよ(笑)」








また、息が詰まった。





ともには、敵わない。




ともが笑顔になるように、と思って始めたのに逆にわたしが笑顔になって、元気をもらっている。





ともはどこまで、他人思いなんだろう。





中「でもね、こんなことができるのはAちゃんだからよ、智洋くん、本当にAちゃんのことが大好きで大切だからAちゃんの幸せな姿がうれしいのよ。Aちゃんの幸せが智洋くんの幸せなのよ」





あ、これ秘密よ、と言われてともの所へ駆け出したい気持ちを抑えてドリンクコーナーでいつもの降るとぶどうゼリーになるジュースを買ってから病室に向かった。




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