初恋の味 [原石黒] (ページ6)

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「私もね、なんで北斗なのかわかんない

なれるんなら嫌いになりたいよあんな奴」

なんて口を開けば北斗のことを悪く言ってしまってて

別に嫌いとかじゃなくて、同族嫌悪ってやつなのかな

あと、嫉妬。

あんなに顔良くて運動もできて歌も上手くて。

なのに、私みたいなやつと一緒にいるとことか。

ひねくれ過ぎて毎回トゲある言葉しか言えないのとか。

全部全部ムカつく。

なのに嫌いになれなくて、嫌われたくないって思ってしまってて、そんな自分にも腹立つ。

「お前らってホントめんどくせーのな」

苦笑しながら樹くんに言われて俯いて地面を見つめた。

まあそう、だよね。面倒くさすぎると思う。

「樹くんは、そんなめんどくさい私と
なんでいつもいてくれるの？」

単純にずっと疑問だった。

だってこの人クラスの中心的な存在で

私とは真逆のいわゆる陽キャってやつじゃんね。

「なーにそれ。どういう意味で？」

「どういう意味って、だから、
こんなにも地味で可愛くなくていい所なんかない私なんか…一緒にいても…」

自分のことが嫌いで嫌いで仕方ない私は
開いた口が閉まらずにどんどん自分の悪い所が出てきて、言い続けようとした時に樹くんに遮られた。

「あのさ」

少し怒っても見えそうな見たことない表情な彼が目に入って話すのをやめて相手の方を見つめた。

「樹、くん？」

「俺の好きなやつのこと、そんなに悪く言わないで」

「なに、それ。どういう意味？」

一瞬だけ、思考停止してしまった。

「言ってなかったけどさ、俺お前のこと好きだから」

真剣な眼差しで言い放たれて私は少し戸惑ってしまった。

いつもの冗談とかじゃなくて、本気のやつだ、これ。

「…樹く、」

「まあさ、別にいいよ返事とか
振られんの分かってるし」

少し悲しそうに笑った樹くんの横顔に胸が痛む。

「言うつもり無かったんだけどな…
これからもまだ友達でいてくれる？

…いや、そもそも友達って思ってたのも俺だけ？」

「…ちが…、違うよ、

樹くんは、大事な友達…だから。

これからも、ずっとそう、だから。」

「ん、これからも仲良くしてな」

少し雑に頭を撫でられると暖かいココアを渡された。