初恋の味 [原石黒] (ページ2)

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北斗side

朝起きて、顔を洗って歯を磨いて学校に行く用意を済ませてから家を出る。

俺の家は母親も父親も海外で仕事をしているため誰もいないことが多い。

だからご飯はAの家で食べるのがいつの間にか当たり前になっていた。

Aの家のインターホンを鳴らすとAの母親が笑顔で毎朝迎えてくれる。

「ごめんね。Aまだ寝てるの。
起こしてあげてくれる？」

Aの母親にそう言われ俺はAの部屋の扉を遠慮なく開けた。

幸せそうに涎を垂らしながら寝るAを見て少し呆れたため息が出る。

「ちょっと、A

そろそろ起きないと遅刻だから。早く起きて。」

Aの体を揺すりながら起こすと当の本人は少し迷惑そうに目を擦りながらも身体を起こした。

「おかあさ、…って、北斗じゃん！
なんでいんの！てか勝手に部屋入んな変態！」

俺を母親だと思っていたのか目を開けた時瞳に俺の顔が移ると飛び起きて俺に向かってベッドにある枕やらクッションやらぬいぐるみを投げつけられた。

「あーはいはい。てか別に誰もお前みたいな
ガサツ女の寝顔なんて見ても興奮しねえよ。
さっさと降りてこいよー。」

そう言ってから部屋を出て１階のリビングに降りた。

「…そこまで言われると、傷つくじゃん」

部屋に1人取り残されたAのつぶやきは俺の耳には入らなかった。