初恋の味 [原石黒] (ページ1)

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Prolog ページ1

「ねぇ、北斗はさ。

空の向こう側って終わりあると思う？」

学校からの帰り道河川敷に寝転んでいる幼なじみの隣に並んで寝転んでそんな言葉をかけてみた。

「そりゃあね。この先は宇宙なんだから大気圏越えたらさ」

またこうやって私の想像力を壊していく彼。

「あーあーもう。なんでそんな現実的なこと言うかな」

「現実的も何も俺は当たり前のことを話したまでなんだけど」

そう。私の幼なじみの松村北斗は何に関してもとっても冷めている。

口を開けば難しそうな漢字ばっかり並ぶ言葉を使ったり毎日学校では小難しそうな小説ばっか読んでいる。

「ねぇ、A

月が綺麗ですねって言葉の意味知ってる？」

表情を変えずに夕焼けの空を見たまま北斗が口を開いた。

メガネが反射して目は見えない。

「月？なんで急になの。

また難しい話ー？」

「だろうなと思った。お前バカだしな。
少しは知識増やせよ運動馬鹿女。ほら行くぞ。」

そう言ってから北斗は立ち上がって通路を歩き始めた。

「ねーもう待ってよ。てかそこまで言うことなくない？」

私はその言葉を知る日が来ることなんてないと思ってた。