【第五人格】絵描きは占い師を描きたい！【イライ・クラーク】

▽相談を ページ9

「…ゲームに参加したい？」

『手紙が来たんだ
帰れるかわからないゲームの招待状』


散々一人で悩んで、結局俺は両親二人と相談している。

手紙を出し、ただ俯いて自分の手を握りしめた。


「Aはどうしたいの？」

『…俺は…ゲームに参加したいよ
でも、ここまでお母さん達に育ててもらって、
逃げるように参加するのもどうなんだろうって…ずっと』


涙が溢れそうになって、必死に耐えようと唇を噛み絞めた。

両親は顔を合わせ、しばらく考えるような顔をして、

俺の方を向き微笑んで、頭を撫でてくれた。


「Aのしたいことをしなさい
父さん達のことはいい、それが今Aのしたいことなんだろう？」

「そうよ、でも不安だから手紙とか…
送れたら送ってちょうだいね」


その笑顔にただ、耐えてきた涙が溢れた。

一体、この両親はどこまで優しければ気がすむのだろう。

暖かい家庭に生まれてよかったと、泣いて思った。









「辛かったら誰かを頼るんだぞ」

「頑張ってね」


絵を描くための筆記用具とイーゼルとスケッチブック。

使い慣れたパレットと絵の具、一応お金を入れた財布もバッグの中に詰め込んで、

手を振り見送る両親の姿を眼に焼き付けながら、俺は走り出した。

▽ついに→←▽傷が増えた頃

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す