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▽死んだ私はどこだろう ページ41

「…Aさん」


手を伸ばすイライくんの手首を掴んだ。

出来るだけ強く、フードを外さないように。


ぎゅっとペストマスクを首から顔に動かし、顔にかぶれば、

その強く握った手を、離した。

さっきまで痛みを与えたくないとか言ってたくせに、守れてない。


『君には関係ない事だし、気にしなくていい事だよ
どうせ誰かの何かを語ったまでなんだから』

「…僕は…貴方に何もできないんでしょうか」

『さぁ、どうなんだろうね
君が決めてよ 俺は関係ないからさ』


マスク越しの世界は少し黒い。

灰色であれば、もっとよかったのだけどそう都合よくはいかない。


『…じゃあ俺は寝れてないし、寝てくるよ
服、ありがとうね 今度洗って返すから』


ぼうっとただ止まっているイライくんの頭をひと撫でしては、

けらけらと笑い、マスクを被ったまま自室に戻った。

今ので、関係にヒビが入ってしまっていたらどうなのだろう。


別に助けて欲しいわけでも、理解して欲しいわけでもない。

悲観的に、喚きたいわけでもない。


『俺は何がしたいんだろう』


誰かのヒーローになって優越感に浸りたいわけでも、

苦しむ誰かの痛みを理解し支えたいわけでもないのに。


そもそも、俺なんかがわかるよなんて烏滸がましい。

そんな自分に苛立ちしか覚えないのは自分が嫌いだからか。

マスクを外して、布団に飛び込んで、目を細める。


きっと目を覚ませば、いつも通りの朝で、

誰も、誰かの嘆きなど聞く事ない世界が太陽に照らされる。




そんな世界を私は見つめ続けて、少し疲れてしまって。

▽残された君、迫る闇は→←▽人の不幸は蜜の味



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蛞蝓。(プロフ) - 白黒さん» いいえ、大丈夫ですよ^^ (2019年1月3日 19時) (レス) id: b2945d23b4 (このIDを非表示/違反報告)
白黒(プロフ) - 蛞蝓。さん» あれ……送れてませんでしたかねすみません!m(_ _)m (2019年1月3日 18時) (レス) id: 9362122ae5 (このIDを非表示/違反報告)
蛞蝓。(プロフ) - 白黒さん» 来てなかったのでこっちから送らせてもらいました…あってますかね? (2019年1月3日 18時) (レス) id: b2945d23b4 (このIDを非表示/違反報告)
白黒(プロフ) - 蛞蝓。さん» 一応申請されてもらいましたりゅー114514ですクズとでも呼んでください((((( (2019年1月2日 21時) (レス) id: 9362122ae5 (このIDを非表示/違反報告)
白黒(プロフ) - 蛞蝓。さん» ありがとうございます! (2019年1月2日 21時) (レス) id: 9362122ae5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蛞蝓。 | 作成日時:2018年12月19日 15時

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