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▽落っこちたら戻れない ページ4

夜空を見上げて、黄色い希望の切符を握ってただ死後の世界を歩いた。

死んだ後の世界なんて、そうそう見れるものじゃない筈なのに、

どこか懐かしいのは前世とか、そういう空想的話なんだろうか?


光る龍が飛んだり、妖精みたいなふわふわした毛玉が飛んでいたり、

なんだか現実離れしていてメルヘンチック。


所々の曲がり道に刺さる棒に、

木の板が何枚も貼り付けられていてこちら〇〇世界行きゲートと名前が書かれている。


まるで四角が何個も並んでるみたいな街の道のところ。

道の下を見るときらきらとした光を宿す生前の世界が見えた。

なんだかちっぽけで、未練もクソもなくなってる。


「お嬢さん、落ちたら大変だから覗き込むのはやめときなさいね」

『わっ!』


突然話しかけてきた人の方を向けば、

地面につくほど長い白い髭にツルツル頭のお爺さんが俺を見ていた。


「落ちると現代から登れなくなってしまうのじゃ
そのまま地縛霊やら幽霊になってしまうやからが増えてのう…」

『…死神は連れてきてくれないんですか?』

「死神は死んだ者の魂を集める者、
落ちた魂を集めることが仕事ではない」

『落ちた人は…ずっと生きている世界に?』

「そうじゃ だからお嬢さん
落ちてしまわんよう気をつけて生きなさい」


お爺さんは髭を撫でながらほっほっほっと、

まるで絵本に出てくるような笑い方をして俺の頭を撫でてくれた。

それさえも懐かしく感じ、頬を緩めて笑った。


『…ご忠告ありがとうございました』


一度、礼をして、切符を握りしめて、看板を確認しながら、

第五人格の世界への入り口を探して歩き出した。








「……次のあの子は、報われてくれるんかのお…」


老人は遠くに消えていく黒髪の少女の背を見つめて、その眼を細める。

その背後に折れた翼を引きずる不思議な姿の子供が歩いてきた。


「何やってるんだアリエル、まだ死人の魂判別の仕事があるだろう
地獄送りか、転生行きか、早く判別してくれるとありがたいんだが…」

「おぉ、創造主様よ…すまんかったな、ついついあの子を見てしまった」

「…あぁ、転生を繰り返す娘っ子のことか
まぁ今回はまともな世界に行くんじゃないのか?切符は持たせたしな」

「そうじゃといいな」

「なんだ、死者に愛着でも湧いたか?」

「…そうかもしれんな
まるで孫のようじゃ」

「……愛でるのも程々に仕事に戻ってくれ」

「わかっとる」


老人と子供はただ白い世界を歩いた。

▽罪の重さ→←▽死んでよかった



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蛞蝓。(プロフ) - 白黒さん» いいえ、大丈夫ですよ^^ (2019年1月3日 19時) (レス) id: b2945d23b4 (このIDを非表示/違反報告)
白黒(プロフ) - 蛞蝓。さん» あれ……送れてませんでしたかねすみません!m(_ _)m (2019年1月3日 18時) (レス) id: 9362122ae5 (このIDを非表示/違反報告)
蛞蝓。(プロフ) - 白黒さん» 来てなかったのでこっちから送らせてもらいました…あってますかね? (2019年1月3日 18時) (レス) id: b2945d23b4 (このIDを非表示/違反報告)
白黒(プロフ) - 蛞蝓。さん» 一応申請されてもらいましたりゅー114514ですクズとでも呼んでください((((( (2019年1月2日 21時) (レス) id: 9362122ae5 (このIDを非表示/違反報告)
白黒(プロフ) - 蛞蝓。さん» ありがとうございます! (2019年1月2日 21時) (レス) id: 9362122ae5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蛞蝓。 | 作成日時:2018年12月19日 15時

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